ミュージック バンク

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感性に訴えてきた楽曲を、ちゃんさきセレクションでお送りする音楽ブログ。独断と偏見で綴っています。

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【[ALEXANDROS]「ワタリドリ」】卒業生と、夢や目標を追いかける全ての人へ

卒業シーズンの今日。

この時期になると必ずといっていいほど聴きたくなる楽曲がある。

ロックバンド・[ALEXANDROS]の「ワタリドリ」だ。

卒業生の他、夢や目標を追いかけている人すべてに読んでほしい。

筆者の過去

複雑な気持ちのまま迎えた卒業式

明日、母校の卒業式が行われる。

後輩たちは一人ひとりどんな心境で卒業式を迎えるのだろうか。

筆者は2年前に大学を卒業したのだが、振袖と袴を身にまとった華やかな姿とは裏腹に、複雑な心持ちのまま卒業したのだった。

就活に失敗した過去

私はずっと“書くこと”を仕事にしたかった。

そのため、就職活動では出版業界やWEB業界を中心に受け続け、何度落ちてもあきらめきれず、12月まで粘ったのだった。

しかし、結果は全敗。

仕方なく他の業界に目を向け、そこで卒業式までに内定を勝ち取ったものの、心は全く納得いかなかった。

それでもあきらめきれなかった夢がある

4月になり、新卒で入社した会社で働きながらも、私は自分の夢をあきらめきれなかった。

そこで私は働きながら転職活動を始め、ついに夢を掴んだ。

時間は掛かれど、目標に向かって手を伸ばし続ければ、いつかその努力が結ぶ日がくることを学んだのだった。

「ワタリドリ」から勇気をもらえた

明日、もしかしたら私のように就活を失敗してしまった卒業生がいるかもしれない。

また、なかなか目標が達成できず悩んでいる人もいるかもしれない。

そんな人にこそ、[ALEXANDROS]の「ワタリドリ」を聴いてほしい。

この曲は私を勇気づけてくれた、思い入れの強い曲となっている。

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夢を叶えるため邁進し続ける[ALEXANDROS] (PHOTO:Tour 2016〜2017 〜We Come In Peace〜 2017.04.22 幕張メッセ公演時のもの)

[ALEXANDROS]略歴 

順風満帆ではなかった[ALEXANDROS]

[ALEXANDROS]がこれまで歩んできた道のりも、波乱に満ちたものだった。

2007年に結成し、2010年にリリースしたファーストアルバム『Where's My Potato?』でデビューを果たした彼ら。

当時は、ボーカル・川上洋平らが敬愛するロックバンド・Oasisの楽曲「Champagne Supernova」から名前を取り、「そこに居るお客さん、スタッフさん、自分達、全ての人達に音のアルコール分が行き渡り、『音』に酔って欲しい」という思いが込められた[Champagne]というバンド名で活動していた。

[ALEXANDROS]の魅力とは?

彼らの魅力は何もルックスだけでない。

フロントマン・川上が歌い上げる英語の発音の良さとハイトーンボイス、さらには甘く美しい、どこか色気も漂う歌声は多くの人を魅了してやまない。

そんな川上を支えるメンバーも、それぞれが独自の存在感を放っている。

ドラマー・庄村聡泰が叩くドラムの豪快さと、他のバンドと比べて位置が圧倒的に高いシンバルは抜群な存在感を見せ、ギタリスト・白井眞輝は、荒々しいサウンドから温かみのある音まで、フレーズによって多彩な音色をかき鳴らしている。そこにベーシスト・磯部寛之が正確なベースを奏でることで、素晴らしいハーモニーが生まれる。

実力派なバンドだけに早くから売れていたと思われることも少なくないが、実際はそうではない。

パクリ疑惑で炎上

一つ目の騒動は2013年に起きた。

楽曲「Forever Young」に“パクリ疑惑”が浮上したのだ。

同MVが、オーストラリアのグループ・ClubfeetのMV「Everything You Wanted」と映像や構図などが似ているため、海外アーティストのMV制作会社側が怒りのコメントを発表する事件があった。

その後、「Forever Young」のMVは削除され、[ALEXANDROS]の所属する事務所側が企画演出を担当したことを発表し、謝罪した。

また、楽曲のAメロがOasisの「I Hope, I Think, I Know」と似ているといった声や、他の楽曲も盗作しているといった声が相次いだ。

バンド名を改名

さらに追い打ちをかけるかのように、2014年にはフランス・シャンパーニュ地方のワイン生産同業委員会からバンド名に対してクレームが入るという事件があった。

このことにより、同年3月28日に開催された自身初となる日本武道館公演で、[Alexandros]に改名したことを発表するという異例事態が発生した。

2つの山場を乗り越えた[ALEXANDROS]

イギリスで開催される、世界最大級の音楽フェス「グラストンベリー・フェスティバル」でヘッドライナーを務めることをバンドの目標に掲げている[ALEXANDROS]。

どんな逆境に立とうとも、粘り強くバンド活動を続けてきた彼らは、2016年にリリースしたアルバム『EXIST!』で初のオリコンチャート1位を獲得。

さらに、今では2015年にリリースされた名曲「ワタリドリ」を知らない人はいないほどの人気っぷりを見せている。

今回はそんな「ワタリドリ」について、独断と偏見で書いていきたい。

 「ワタリドリ」歌詞考察

この曲は、[ALEXANDROS]がこれまでの経験を踏まえた上で作ったものなのではないかと考えた。

I wanna fly so high 

Yeah, I know my wings are dried

「翼仰げば」って人は云う

 

その向こうにあるは無情

飛べる者 落ちる者

高く飛びたいというのは、早く売れたいという意味なのではないだろうか。

まずは、当時の彼らにとって、オリコンチャート1位を獲得するという目標があったのかもしれない。

しかし、その先にあるものは、彼らが目標として掲げる「グラストンベリー・フェスティバル」でヘッドライナーを務めることだと思う。

早く売れたいのに、まだ売れない。それは、2つの困難をようやく切り抜けたばかりだからだろう。

しかし、周りの売れていっているバンドから「早くしなよ」と軽々しく言われるのだと思った。

誰も見てない

気にも留めない

それでも飛び続けた

2つの事件が起きてしまったことで、次第に周りの売れているバンドからは注目されなくなっていったのだろうか。

それでも、彼らが掲げる夢や目標を掴もうと、ひたすら賢明に努力をし続けた。

傷ついた言葉乗せ

運びたいから

きっと[ALEXANDROS]は悔しかったのだと思う。

人からいろいろと言われた言葉で傷ついたのだと思う。

ただ、傷ついたままではいられないと思ったのだろう。

その悔しさを逆手に取り、闘争心に火がついたメンバーの様子をイメージした。

追いかけて 届くよう

僕等 一心に 羽ばたいて

問いかけて 嘆いた夜

故郷(まち)は 一層 輝いて

メンバーが夢や目標に向かって一心に挑戦するシーンを想像した箇所。

しかし、そんな努力が報われない日々が続き、自分自身を問い詰めた夜もあったのだろう。

そんなときには、騒動が起きる前の自分が昔いた立場を思い出したり、騒動前に戻りたいと思ったときもあったのだと思った。

ワタリドリの様に今 旅に発つよ

ありもしないストーリーを

描いてみせるよ

どんなに辛い日々があろうとも、夢や目標を必死に追いかけ続けるメンバー。

騒動前よりずっと成長した自分になるため、未来を切り開くという固い意志が感じられた。

I wanna fly so far

away with my guitar

「一人じゃない」って人々は歌う

 

間違いじゃない

理想論でもない

ただ頼って生きたくはない

“一人じゃない”のは、川上をサポートしてくれるメンバーの他、ファンがいるからだろう。

しかし、周りに頼ってばかりでは、彼の美学に反するのだと思う。

自身の武器・ギターのスキルも磨きながら、彼らの夢を絶対に夢を叶えてみせるという強い意気込みが感じられた。

誰も聴いていない

気にも留めない

それでも歌い続けた

 

傷ついた あなたを

笑わせたいから

まだファン以外の多くの人に彼らの声が届いていないものの、彼らは決して歌うことをやめなかった。

歌い続ける理由は、騒動で傷つけられたドロスのファンのためなのだろうか。

追い風 届けるよ

僕等 一心に 羽ばたいて

遠い過去を 背負ってた

あなたを未来へ運ぶよ

1番で自分たちのために頑張っていたことを歌っていた[ALEXANDROS]が、2番ではファンら彼らをサポートしてくれる周りの人すべてのために頑張っていることがわかる。

自分たちがこれまでたくさん傷つけられてきたため、今度は傷ついた人たちを救いたいという思いがあるのだろう。

夢や目標に向かって頑張るリスナーを歌で後押ししたいという思いも感じられた。

ワタリドリの様に今 群れをなして

大それた四重奏を 奏で終える日まで

4人揃って[ALEXANDROS]。

彼らが奏で続ける限り、周りの人をサポートし続けたいという思いが感じられた。

All this time we come and we grow

Now it's time that we should go

But we both know that this is for sure

It's not the end of the world

Well, see you one day

ファンのために頑張ってきた音楽をやめ、今度は再び自分たちのために音楽を奏でていきたいという意味なのだろうか。

また、「だからといって、ファンのことは見捨てない。またライブやフェスで会えるから」という思いやりも感じられた。

追いかけて 届くよう

僕等 一心に 羽ばたいて

問いかけて 嘆いた夜

朝焼け色に 染まっていく

 

ワタリドリの様に いつか舞い戻るよ

ありもしないストーリーを

いつかまた会う日まで

再び自身の夢を追いかけだした[ALEXANDROS]は、次々と過去の自分たちを越えていき、理想の未来に向かいながら、新たなる一歩を踏み出している姿を想像した。

新しい自分になって帰ってくる日を楽しみに、それまで待っていてほしい。

そんなメッセージ性が込められていると思った。

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(PHOTO:Tour 2016〜2017 〜We Come In Peace〜 2017.04.22 幕張メッセ公演時のもの)

感想 

物事の終わりというのは全て新たな始まりを意味するものだと思う。

学生さんは、長年の学生生活が終わると同時に、社会人としての新生活が始まるだろう。

夢や目標がある人は、それらが叶っても、また新たな夢に向かって追い続けるに違いない。

私にもまた新たな夢ができた。

なかなか努力が実らないが、辛い過去があるからこそ、それを糧に新たな目標を掴みたい。

【レミオロメン「3月9日」】好きな人に贈りたいラブソング

本日は3月14日。ホワイトデー。

出逢いと別れの季節である今日、まだ好きな人に想いを伝えられていないという人もいるのではないだろうか。

既にキャンディーやクッキーなどの甘いものと一緒に想いを伝えた人も、好きな人に何を伝えようか迷っている人も、伝えようと思ったけれど恥ずかしくて言えなかった人も。

今年はひと味違う、オシャレな“歌のプレゼント”を贈ってみてはいかがだろうか。

“卒業ソング”として歌われている「3月9日」

学校では卒業式の合唱として、カラオケでは卒業ソングとして歌われている、レミオロメンの「3月9日」。

今ではすっかり“卒業ソング”として定着しているが、歌詞に注目してよく聴いてみたところ、実は“恋愛ソング”だったことが判明。

好きな人への真剣な想いがあふれる「3月9日」。今回はこの曲について独断と偏見で書いていきたい。

歌詞を徹底的に掘り下げる! 「3月9日」個人的解釈

流れる季節の真ん中で

ふと日の長さを感じます

せわしく過ぎる日々の中に

私とあなたで夢を描く

何かを待っている時間というのは、長く感じられるものではないだろうか。

それが楽しいことであればあるほど、長く感じられるだろう。

しかし、楽しいことはあっという間に過ぎ去ってしまう。

この場合、日の長さを感じるのは、好きな人と逢えるまでの待ち時間が長いということだと考えた。

そして、好きな人と過ごす幸せな時間は過ぎ去るのが早い。

そんな中、2人は夢を描いた。

3月の風に想いをのせて

桜のつぼみは春へとつづきます

お互いに描いた夢は、結ばれたいと思っていることなのではないだろうか。

2人はそれぞれのことが好きでありつつも、両片想いな状態で、両想いだと確信できる“春”を待っている状況なのだろう。

“春へとつづきます”とある通り、その後2人の恋愛は成就するのだと思う。

溢れ出す光の粒が

少しずつ朝を暖めます

大きなあくびをした後に

少し照れてるあなたの横で

春になり、晴れて両想いになった2人が一緒に住んでいる場面を描いた箇所だと思った。同棲しているのだろうか。

そんな2人のいつかの朝の様子を描いたシーン。

相手の前であくびをする姿や、相手の横にいることから、距離感がだいぶ近くなったことが感じられるだろう。

新たな世界の入口に立ち

気づいたことは 1人じゃないってこと

“新たな世界の入口”は、好きな人との交際が始まった様子を表していると考えた。

2人がお互いに支え合っている、仲睦まじい関係性が感じられる。

瞳を閉じれば あなたが

まぶたのうらに いることで

どれほど強くなれたでしょう

あなたにとって私も そうでありたい

相手がいる、それだけで強くなれる。

そんな感謝の気持ちがじんわりと伝わってきた。

砂ぼこり運ぶ つむじ風

洗濯物に絡まりますが

昼前の空の白い月は

なんだかきれいで 見とれました

 

上手くはいかぬこともあるけれど

天を仰げば それさえ小さくて

“砂ぼこり”や“絡まる”、“上手くはいかぬこと”などから、喧嘩してしまった様子を表しているシーンだと思った。

しかし、そんなときに上を見上げ、どこまでも広がる空を見ながら、喧嘩は些細なことのように感じられたのだと思う。

寛大な心をもって許してあげようというやさしい気持ちが感じられた。

青い空は凛と澄んで

羊雲は静かに揺れる

花咲くを待つ喜びを

分かち合えるのであれば それは幸せ

 

この先も 隣で そっと微笑んで

“青い空”は夏を、“羊雲”は秋を、“花咲くを待つ喜び”は冬といったように、季節が次々と移り変わる様子をそれぞれ表しているのだと思った。

そして、どんなに時間が過ぎても、この先も一緒にいたいと想い合う2人は、結婚することになったのだろう。

“この先も 隣で そっと微笑んで”という歌詞から、愛を誓いあう2人の幸せそうな様子が浮かんだ。

実は○○のために作られた曲だった! 

気になって調べてみたところ、この曲は友だちの結婚式を祝うために作られたということがわかった。

今ではすっかり“卒業ソング”として有名なこの曲だが、“好きな人”の中には友だちも入ると思う。

曲名「3月9日」に注目すると、“39”、つまり「ありがとう」という感謝の気持ちを表した楽曲だと考えた。

友だちへ、婚約者へ、好きな人へ。

「ありがとう」を伝えたいあらゆる人にこの曲を贈ってみてはいかがだろうか。

好きな人は何も恋人だけじゃなくていい。

さまざまな捉え方で「ありがとう」を伝えてもいいと思う。

真剣な気持ちは、きっと伝わるよ。

【KANA-BOON『ハグルマ』】“二面性”で魅せる、強化された楽曲

“前進し続けるロックバンド”KANA-BOONが攻めている。

KANA-BOONの新曲に絶賛の声、続々!

ニューシングル『ハグルマ』を3月6日にリリースしたKANA-BOON

デビュー5周年を記念し、昨年から5シーズンにわたり、5作品のリリースと5つのイベント開催を実施する企画を展開中の彼らは、“シーズン5”となる今春に同シングルを発売した。

楽曲「ハグルマ」は、アニメ「からくりサーカス」のために書き下ろされたテーマソングで、主題歌OPとして起用されている。

ボーカル・谷口鮪は、「自分にとって人生を支えてくれた大切な作品」「『からくりサーカス』は現在の自分を創り上げ、そして生かし続ける為の大きな歯車のひとつとなっています」と“からくりサーカス愛”を綴っていた。

既にライブでも披露され、その疾走感あふれるアッパーチューンに虜になる人が続出している新曲「ハグルマ」。

Twitterでも「かっけえ」「鳥肌立つ」「好き」などと、絶賛する声が絶えない。

今回はそんな「ハグルマ」の魅力を独断と偏見で書いていきたい。

「ハグルマ」は、“音”に注目!

中毒性のあるギターリフと、ベースライン… 「ハグルマ」はなんといってもそのアグレッシブなサウンドが魅力だろう。

しかし、それだけでなく、谷口が書く歌詞にも注目してほしい。

“咲かす”が“サーカス”に聴こえる“からくり”があり、アニメ「からくりサーカス」のタイトルを想起せずにはいられない。

また、“ラッパ”、“着火”、“真っ赤”といった言い回しや、“様々”や“バラバラ”などの表現が見られ、ところどころ韻を踏んだ遊び心が見られる。

そんな思わずにんまりとしてしまうようなユーモアあふれる「ハグルマ」だが、歌詞からは真剣で前向きなメッセージ性が伝わってくる。

かつても疾走感あふれる「フルドライブ」や「Fighter」のようなナンバーをリリースしてきたKANA-BOONの、“昔を超えた”かっこよさを感じた。

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“かっこいいKANA-BOON”覚醒!(PHOTO:KANA-BOONのとぅるとぅるかむとぅるーTOUR 2015 ~夢のアリーナ編~ at 日本武道館 DVDより)
切なさあふれる「オレンジ」も必聴!

「ハグルマ」では“かっこいいKANA-BOON”が感じられるが、一方で、“切ないKANA-BOON”が見られるカップリング曲「オレンジ」も聴いてほしい。

柔らかく温かみのある、明るいものの、どこかちょっぴりおセンチな気分になってしまう「オレンジ」は、散歩中に夕焼けを見ながら聴きたくなるようなナンバーとなっている。

さらに、カラスの鳴き声と“阿呆”と掛けている点や、“薬”と“クスリ”という笑い声を重ねているところなど、こちらも小洒落た歌詞が見られる。

ここまで掛詞が見られると、「ハグルマ」で登場する“枯らす”という言葉と「オレンジ」の“カラス”でも繋がりがあるのだろうか。

その真相は分からないが、“攻”の「ハグルマ」と“守”の「オレンジ」のいずれも“KANA-BOONらしさ”が際立つ楽曲となっている。

【Nulbarich『VOICE Remixes』】自己流“リミックス”の愉しみ方

CM曲にも起用された「VOICE」の“リミックス”が登場!

Nulbarichが3月1日、EP『VOICE Remixes』をリリースした。

昨年11月にシングル『VOICE』を配信し、今年の2月に発売されたアルバム『Black Envelope』にも収録されている楽曲「VOICE」。

CMのタイアップ曲にも起用され、聞いたことがあるという人も多いのではないだろうか。

そんな「VOICE」のさまざまなリミックスが詰め込まれた今回のEP。

洋楽アーティストは同じ曲のリミックスだけを収録したCDをリリースしている人は多いものの、邦楽アーティストは少ないように感じていただけに、このニュースは私には新鮮に感じられた。

“リミックスの魅力”とは?

すべて同じ歌詞となっているが、曲のテンポが異なったり、少しアレンジが加えられていたりするだけで、楽曲のテイストや雰囲気がかなり変わる。

それだけでなく、曲によっては伝えたいことに変化が生じるように感じる。

そのときの気分やフィーリングにちょうどフィットするものを聴きたいという人に、リミックスは向いているのかもしれない。

今回は『VOICE Remixes』の4曲目に収録されている、オリジナル曲「VOICE」の自己解釈をまずはざっくりと紹介。さらに、各リミックスで感じ方がどのように変化したのか、独断と偏見で書いていきたい。

アルバム『VOICE Remixes』レビュー!

4.「VOICE」

自分なりの理想を掲げ、その夢や目標を叶えるため、親しい友だちと離れることを決断した主人公。

“辿りついたその時にはまず  I'll come see you again”というフレーズからは、友情の厚さも感じられる。

そうした遠くにいる友だちのことを気にかけながらも、固い意志を胸に、自分の“心の声 (VOICE)”がするほうへ自分らしく進んでいく。そんな果敢な主人公の姿を想像した。

次に友だちと再開したときには、一歩成長した姿で出逢っているに違いない。

 

1.「VOICE (Madison Mars Remix)」

イントロで聴こえる、ややゆったりとしたフューチャーハウス系のサウンドは、口々に同じ言葉が繰り返される様子を表現しているように聴こえ、歌詞の“使い回された言葉”へとつなげているように感じた。

また、シンガーソングライター・JQが“tell me if I were you  何も知らない僕はcrying or smiling?”と歌う場面では、時計の秒針が刻む音とともに流れてくることから、友だちと逢えなくなってから時間がかなり経過しているように思った。

また、最後に友だちと逢ったときまで時間を巻き戻し、その当時を回想しているようにも考えられる。

さらに、歌詞の“秒針に乗せたmelody”とも通ずるものがあるように考えた。

1曲目のこのリミックスでは、友だちと一緒に過ごしたときのことや、一歩成長した姿で出逢う友だちとのことなど、“友だちとの時間”に重点が置かれているように聴こえた。

 

2.「VOICE (Ruhde Remix)」

“take me out ~ make my new word”や“どっか遠くへ 連れ去って ねぇ  We always look for something”のところで上がっていくシンセの音や、“tell me if I were you”という歌詞の“if I”の部分が何度もリピートされているのが特徴的となっている2曲目のリミックス。

徐々に上がっていくシンセのサウンドからは、自分と同じように理想を追いかけている友だちの、高みを目指す姿が強調されているように聴こえた。

また、“if I”のリフレインからは、自分が友だちならどうしていたのだろうかという疑問が何度も脳裏をかすめる様子が感じられる。

「もし私が誰々だったら」と想像するとき、だいたいそれは憧れを抱いている人や尊敬している人物に対して思うことではないだろうか。主人公は友だちのようになりたいという願望を抱いているように感じた。

2曲目は、そんな“友だちとの関係性”がフィーチャーされたリミックスのように思った。

 

3.「VOICE (Henry Fong Remix)」

他のリミックスよりもゆったりとしたイントロで始まりながらも、トラップやダブステップなどのベースミュージックでパンチを効かせ、その高低差が魅力となっている3曲目のリミックス。

これからの未来への期待や、自分の理想に向かっていることへの高揚感を表したようで、“主人公が楽しみながら奮闘する様子”を描いているように感じた。

リミックスは好きですか?

リミックスが嫌いだという人も少なくない。

そんな人にこそこの記事を読んでもらいたい。

意外といいかも、なんて思ってもらえたら光栄です。

【パノラマパナマタウン『情熱とユーモア』】“楽しい裏切り”で見せた、彼らの成長っぷり

パノパナが2月13日、ついに初となるフルアルバム『情熱とユーモア』をリリースした。

彼らは、本当に“2010年後期、ロックシーン最終兵器”なのかもしれない。

楽しい裏切りにあったのだ。

多様性に富んだサウンドと挑発的なリリックが魅力だった、パノラマパナマタウン

神戸で結成された、4ピースオルタナティブロックバンド・パノラマパナマタウン

NUMBER GIRLASIAN KUNG-FU GENERATIONNICO Touches the Wallsなどのアーティストから影響を受けたメンバーは、自身のバンド名にも“パノラマ”とあるように、ロックやヒップホップ、ファンクなど、それぞれが好きな音楽を詰め込んだバラエティー豊かなサウンドが特徴となっている。

そんな彼らが作る音楽は、曲ごとに方向性が異なるのも魅力のひとつ。しかし、それ以上に、自身の中に溜まった鬱憤や苛立ちなどをさらけ出し、社会に牙をむけたような、攻撃的で刺激的な歌詞が彼らの最大の特徴だったのではないだろうか。

強烈なロックスピリットあふれる「フカンショウ」に注目!

メジャーデビューを記念し、2018年1月にリリースしたミニアルバム『PANORAMADDICTION』に収録されたリード曲「フカンショウ」を聴いてほしい。

“ほっといてくれ!”で始まり、“ほっといてくれ!”で終わるこの楽曲。

曲中にはなんと25回も同フレーズが登場し、自分が優位に立っていないと認めない人や他人の揚げ足を取る人、批判してくる人などに対する怒りを吐き出した、思わず共感してしまう“あるある”がふんだんに詰め込まれたロックスピリットあふれるナンバーとなっている。

楽曲からは、“他人の意見なんて聞かない。人に何を言われようと、自分は自分だけを信じていく”という強い意志も感じられ、自分の夢や目標がある人、自分の道を進みたい人を鼓舞してくれることに違いない。

また、“俯瞰し俯瞰し不感症 真に受けない俺たち不干渉”というラップからは、“パノラマ”と入った自身のバンドについて触れつつ、彼らの挑発的なメッセージを映し出したように感じた。

さらには、変則的な曲展開も見られ、彼らのこれまでの魅力をリリック、サウンド面ともにこの1曲にたんまり詰め込んだといっても過言ではないだろう。

“数字”の価値観に体当たり! 「$UJI」にも目が離せない

2018年6月にリリースされたシングル「$UJI」も負けていない。

受験の合格点や仕事の業績などの順位にまつわる物事から年齢や収入まで、あらゆる“数字”に対する怒りを爆発させた同曲も、パノパナは自分らしく生きることのメッセージ性を訴えている。

魅力的なサウンドはそのまま! 変化したのは“リリック”!?

「フカンショウ」や「$UJI」などからも見られるように、これまでの楽曲からは鬱憤や苛立ちを軸に、“自分らしく生きる”というテーマを彼らが奏でる音にのせて、アグレッシブにさらけ出してきた。

しかし、メジャーファーストフルアルバムは違った。

例えば、『情熱とユーモア』収録曲の「Top of the Head」を聴いてみてほしい。

“自分らしく生きる”というテーマは変わっていないものの、怒りをあまり感じさせない、前向きな歌詞に変わっているのがわかるだろうか。

“思いもよらぬほど 素晴らしい明日が 俺らには待ってるはずだろう”や、“この単調な毎日を変えて 最高潮イメージを積み重ねて それを人生と呼ぶだけさ”など、これまでの彼らがあまり伝えてこなかった人生に対する肯定的なメッセージが楽曲のところどころに散りばめられている。

また、収録曲「めちゃめちゃ生きてる」も、“何だってできるなんて 強がりも虚勢も 味方に変えて 楽に生きてこうぜ”や、“あなたが作った晩飯は どんなエナジードリンクより元気が出る”など、ポジティブなメッセージ性があふれている。

その一方で、彼らのこれまでの歩みを感じさせる「$UJI」や「くだらnation」など怒りを爆発させた過去の楽曲も収録されている。

それだけでなく、初の全国流通版となるファーストミニアルバム『SHINKAICHI』に収録され、自問自答してきた様子を描く「世界最後になる歌は」や、その当時を振り返ったような「Who am I ???」「からの」「俺ism」などの楽曲も見られるのが、このアルバムのよさをより引き立てているように感じた。

今後のパノパナにも期待!

エネルギッシュな魅力あふれるパノラマパナマタウン

昨日行われた、彼ら主催のサーキットフェス・パナフェスもきっと盛り上がったに違いない。

これからも楽しい裏切りをたくさん見せてほしいと思った。