ミュージック バンク

ミュージック バンク

感性に訴えてきた楽曲を、ちゃんさきセレクションでお送りする音楽ブログ。独断と偏見で綴っています。

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Devil ANTHEM.が私のハートを征服中! “沸ける正統派アイドル”に首ったけ

“沸ける正統派アイドル”をコンセプトに掲げている、Devil ANTHEM.(通称、デビアン)。

今回は、5月19日に開催された、デビアンの5月定期公演「Leap~KURUMI.プロデュース公演~」の模様をレポートする。

デビアンの魅力とは?

私の中でデビアンが沸騰している。

筆者はこれまで邦ロックを中心に、ポップスやEDMなども好んで聴いてきた。好きなアイドルは“メタルアイドル”BABYMETALや、“テクノポップアイドル”Perfumeぐらいだった。彼女たちを観るためライブやフェスに行くこともあるが、年に1回程度。しかし、そんな私が何度もライブに足を運びたくなるくらい夢中になっているアイドルは、デビアンが初めてだ。

デビアンの曲は歌声はかわいらしいが、いわゆる“アイドルらしさ”を感じさせない。ポップスやロックテイストの楽曲もあるものの、ゴリッゴリのハードスタイルも取り入れた“本格派”なEDMに合わせて歌って踊るアイドルは初めて観た。思わず、衝撃が走る。すごいアイドルを見つけてしまったと思った。私は動画から目を離せずにはいられなかった。

彼女たちの魅力はサウンド面にとどまらない。ライブではメンバーと一緒になって踊ることができる他、デビアンオリジナルコールもいくつか存在する。ロックバンドのライブやフェスにはよく行くが、バンドとは異なるパフォーマンススタイルが私にとっては新鮮に感じられ、目を見張るものがあった。

また、メンバーそれぞれの魅力を自分たちで分かっていることもデビアンの強みなのではないかと思う。今回開催された公演は、メンバーのKURUMI.(以下、くるみちゃん)がライブのセトリから特典会のコンセプトまで考えて行われたものだった。メンバー自身でも魅力を引き出せるからこそ、観るものをたちまち虜にしてしまうのだろう。

くるみちゃんプロデュース公演

暗転すると、デビアンは早速「Flashover」でスタートを切った。スウィングの効いたビートがエレクトロサウンドと調和している同曲のメロディに合わせて、爽やかにダンスを披露していくメンバー。星を描くような振付も交えながら、“光”に向かうため困難を乗り越えて突き進んでいくようなダンスが印象的だ。

続いて披露されたのは「LINK」。愛らしく踊る爽やかポップな曲調から一転し、キレッキレなシャッフルダンスを踊るハードスタイルに突入していく。このギャップと、心にダイレクトに鳴り響く重低音がたまらない。

その後はどこか切なさが漂う爽やかチューン「Replay」へと紡いだかと思いきや、打って変わって4つ打ちハードスタイルの「Like a 熱帯夜」にバトンタッチ。迫力のあるサウンドとダンスで会場をヒートアップさせたまま、エレクトロポップなハードコア「Fever」の人気曲へと持ち込んでいく。

コールが連発する同曲では、家虎、スタンダードMIX、ジャパニーズMIXなどのアイドル定番コールだけで終わらせない。

(竹越)くるみちゃんに向かって「タケコシファイヤー!」、YUME.(以下、ゆめちゃん)とKAEDE.(以下、かえでちゃん)には「萌え萌えキュン」などのコールが飛び交うパートがある他、「あるよー!」「オレモー!」などのデビアンオリジナルコールも存在する。

とにかく楽しいだけでなく、コール発動後のメンバーたちによるとびっきりの笑顔や、かえでちゃんが「ありがとうー!」と感謝の気持ちを叫ぶパートが見どころとなっている。

毎回ラストのサビでは、フロアはマサイをする人であふれかえっているが、この日の熱狂ぶりも負けていなかった。ファンは一瞬、一瞬を大切に、みんなで盛り上がっていた。「Fever」でラストを飾らずに中盤に持ってきているのも、余韻に浸るよりも今この瞬間を楽しんでほしいというメッセージが込められているのではないかと思った。

自己紹介などのMCを挟み、後半戦はファンクナンバー「Only Your Angel」でキックオフ。手を振ったり、指を上に左右にとさしたり。会場は振りコピをする観客であふれていた。

続く「EMOTIONAL」では、疾走感あふれるロックテイストなサウンドとともにデビアンなりの“応援ソング”を届け、遊び心あふれるナンバー「OMONPAKARU」へと繋げた。

その後は「Darkside」「Fake Factor」の2曲を続けざまに披露し、ライブは終了。彼シャツ姿のメンバーが登場する特典会へと移っていき、くるみちゃんプロデュース公演は大盛況に終わった。

感想

くるみちゃんは一人ひとりのメンバーの良さを引き出しつつ、彼シャツというファンが喜びそうな特典会の衣装を、高校生なりの視点で考え抜いてくれたことに驚いた。

堂々たるパフォーマンスを元気いっぱいに魅せてくれるくるみちゃん、見るものを幸せにするような笑顔が特徴的なかえでちゃん、どこか不思議なトークが魅力の美少女・ゆめちゃん。

それから、ぱっちり目でにこやかに微笑み返してくれる、みんなのアイドル・あいりちゃん(メンバー・AIRI.)、そして目を細めて楽しそうに笑う姿が印象的な、ちょっぴりセクシーなあきらちゃん(メンバー・AKIRA.)。

デビアンに首ったけ。ライブだけでなく、メンバーが成長していく姿にもますます目が離せなくなりそうだ。

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彼シャツ姿のかえでちゃんとの2ショット

今週のお題「アイドルをつづる」

マキシマム ザ ホルモン2号店が出した、唯一無二の味

音楽業界初のフランチャイズ制を導入したマキシマム ザ ホルモン

これまでYouTube上のドキュメンタリー番組「ガチンコ ザ ホルモン~コッテリの継承者たち~」でオーディションの模様が配信されてきたが、本店の選考で採用された5名の“店員(メンバー)”からなる2号店がついに“開店”し、5月5日に行われた埼玉史上最大のロックフェス「VIVA LA ROCK 2019」に初上陸した。

今回は、そんな2号店の初ライブの模様を筆者の感想を交えながらレポートする。

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マキシマム ザ ホルモン2号店が出してくれた、“あの味”が忘れられない

はじめに

忘れられない味は、あるだろうか。

残業で疲れていたときに上司が買ってきてくれたアイスの味、好きな人と一緒に食べたごはんの味。みんなひとつやふたつはあるのではないかな、と思う。

私にとっての一番忘れられない味は、マキシマム ザ ホルモン2号店が提供してくれたものとなった。

 

ホルモン2号店が提供してくれた味は、美味しかった。

心まで染み渡るような熱いスープ(ロックスピリット)、スープによく絡む麺(サウンド)、それからこだわりのトッピング(個性)。いろんな旨味がにじみ出ていたが、全てが喧嘩せずに仲良く溶け込んでいた。

そして、そんなラーメン(音楽)を湯気(熱気)が出る中、美味しそうにすする客(腹ペコ ※ファンの総称)と、気前よく提供してくれた店員(メンバー)。

全てが忘れられないものとなった。

ライブレポート

コッテリーナイス! 2号店ならではの旨味を加味しつつ、本店の味を“ぶっ生き返す!!”

腹ペコの歓声が沸き起こる中、本店でお馴染みのSEをDANGERxDEERが掛けていく。そして「2号店の味を召し上がれー!」というセキはんのシャウトとともに披露されたのは、「ぶっ生き返す!!」。

2号店だからといって、決して本店の味を“殺す”ことはしていない。むしろ、本店の味を“生き返す”どころか、自分たちの旨味を引き出し、それをところどころに散りばめた2号店なりの良さがあった。

七色ボイスを持ち、MCパートでも盛り上げるセキはん(キャーキャーうるさい方と女声)、ダイエット企画に挑戦しながら人間嫌いである自分と真摯に向き合い、内面、外見ともに一皮むけたタクマ(歌と6弦)。

それから、キュートな笑顔を弾けさせながらも、観客にも楽しんでもらえるようなパフォーマンスをアグレッシブに披露するわかざえもん(4弦)、真剣にドラムをたたく中、ときどき見せるニタニタ笑顔が印象的なオマキ(ドラムとニタニタ)、そしてところどころ楽曲にアレンジを利かせ観客を沸かす、世界をまたにかけて活躍中のDANGERxDEER(DJ)。

そんな5名によるパフォーマンスは、1曲目からコッテリとした旨味がしっかり凝縮されていた。

食後すぐの腹痛なんて気にしない! モッシュ、ヘドバンの嵐で大歓喜する腹ペコ

続く「包丁・ハサミ・カッター・ナイフ・ドス・キリ」では、サークルモッシュが発生し、腹ペコの心もますますヒートアップしていく。会場の温度が冷めやらぬうちに、今度はMCへ。

セキはんは「えー、ビバラロックにお集まりの皆さま。本日は大変厳しいタイムテーブルの中、この時間、この場所をご覧いただきまして、誠にありがとうございます。マキシマム ザ ホルモン2号店でございます」と、合宿中にマナーの先生から教わった丁寧な口調で感謝の気持ちを述べていく。

そして、「あれ、タクマ? こんなところに“シミ”が」というセキはんのつぶやきとともに次曲「シミ」へと持ち込んだ。

ヘドバンの嵐が沸き起こった他、セキはんの大ジャンプも披露され、腹ペコを大いに沸かしていく2号店。そんな目を奪われるような光景は、落ちることのない“シミ”としてメンバーの他、腹ペコの魂にも深くくっきりと刻み込まれたに違いない。

その後の「「F」」では、タクマとわかざえもんの2人が互いに向かい合ってヘドバンを披露しながら演奏するなど、メンバーの仲の良さが垣間見えた。

「ただただコピーバンドやっているんじゃない」 セキはんが明かした感動のMC

次のMCで、セキはんは「我々、ただただ本店のコピーをしているバンドではございません。今ここに立っているのは5人。たった5人かもしれませんけれど、いろんな想いがここ、VIVA LA ROCK、GARDEN STAGEには渦巻いています」と心境を明かした。

マキシマム ザ ホルモン本店の想い、そして今、いろんな想いを抱えた方がここに集まってきてくれていると思う。目の前のあなた方、動画を見て自分を重ね合わせたりだとか、コイツ面白れぇなだとか、いろんな感情を抱えてここに来てくれている方がたくさんいると思います」と打ち明けていく。

また、「一番悔しい想いをしていると思うのは、きっと一緒に2号店を目指して、だけどここに立つことができなかったオーディションメンバーだと思うんですよ」と話すと、会場に駆けつけていたオーディションメンバーからは歓声が上がる。

「わしらはお前らの想いも背負ってやっているつもりだから、ただただコピーバンドやっているんじゃない。いろんな奴らの想いがここには渦巻いていて、いろんな奴の人生の希望、夢、ワクワク、不安、絶望、挫折… いろんなものがごっちゃ煮になって、そしてにじみ出たもの、それがマキシマム ザ ホルモン2号店の味だ!」と熱い胸の内を明かしてくれた。

そして本店のライブでお馴染みの“恋のおまじない”を「麺カタ~! コッテリ~! “ナイス~!”」とアレンジさせた“2号店の一味違ったおまじない”をかけたのち、披露されたのは「恋のメガラバ」。

“セキはん”こと赤飯が、歌い手のときに1人でホルモン全パートを披露していた動画が蘇り、思わず目頭が熱くなる。

さらに、MCで話していた“希望、夢、ワクワク、不安、絶望、挫折”は全て赤飯自身のことなのではないか、と思わずにはいられなくなってしまい、涙なしでは見られなかった。

「2号店でした。ありがとう!」という爽やかなあいさつとともに去っていった赤飯ら2号店メンバー。その姿は凛としていて、とてもかっこよかった。

感想

2号店が与えてくれたものは“勇気”だと思う。

例えば、タクマ。

若い頃のマキシマムザ亮君の姿に似ているだけではなく、「亮君と一緒で電車3駅しか乗れない」という特徴まで一致していた。

しかし、“ホルモンが好き”というその一心で応募し、亮君から「可能性を感じる」と見込まれたタクマには「ホルモンに見た目や特徴が似ている人は応募NG」という条件が特別に免除され、別枠のダイエット企画でオーディションに参加することとなった。

本当に2号店のメンバーになりたいと望んでいる人ではないと、応募条件を見た段階であきらめてしまうのではないだろうか。

しかし、タクマは違った。人間嫌いでありながらも、原付で3時間かけてオーディションに駆けつけていた他、応募の段階からこの“勇気”を持っていたのだ。それがタクマの強さだと思う。

亮君はそんなタクマの強みをダイエット企画で伸ばしてあげていたような気がした。

「腹ペコ・ノンフィクション」の最初のほうでは希望に燃えているというよりも「怖いほうが勝っています」と言っていたタクマ。それでも決してあきらめることをしなかったのは、“本気”だったからだろう。

パニック障害を発症してから運動を避けていた」と日記に綴っていたタクマは、そんな自分の苦手意識と果敢に向き合いながら、自分と戦うことをやめず、新しい扉を徐々に解放していった。

好きなスイーツを我慢したり、苦手だったボーリング場へ行ったり。そして、最終的には「俺も人にやさしくロックに生きたい」と綴っており、内面がガラリと前向きに変わっていた。タクマには“勇気”があったのだ。

さらに、タクマは「俺は、この企画中に深夜にラーメンやアイス、お菓子などを食べた瞬間に自分からこの企画を辞退しようと思っている。そんな甘い気持ちで2号店が務まる訳が無い」とも日記に綴っていた。

ここまで強い意志があるタクマに感動させられただけでなく、自分の中にある闘争心が奮い立たされた気がした。ブレない芯を持っている人は、そうなかなかいないだろう。私だけでなく、タクマが必死に戦う姿は観るもの全てに“勇気”を与えてくれたのではないだろうか。

 

私は今、転職活動をしている。好きなことを仕事にするべく奮闘している真っ最中なのだが、最終面接で落ちることが多く、なかなか上手くいっていない。

しかし、そんなときにこそ、2号店が与えてくれた“勇気”を思い出したいと思う。

あきらめるも勇気、戦うも勇気。

選ぶのは、後者一択だろう。

水曜日のカンパネラ・ケンモチヒデフミが凄いのは、“人”がテーマの曲だけじゃない!

水曜日のカンパネラの音楽担当・Kenmochi Hidefumi。彼は独創的なサウンドを手掛けているだけでなく、オリジナリティあふれる歌詞も生み出している。“人”をテーマにした曲が多く見られるが、今回は人以外がテーマの個性的な楽曲も紹介していきたい。

はじめに

水曜日のカンパネラ(以下、水カン)は好きだろうか。

自分が思ったまま、感じたままに表現しているボーカル・パフォーマーコムアイ、独創的な歌詞やサウンドを生み出している音楽担当のKenmochi Hidefumi(ケンモチヒデフミ)、その他“何でも屋”のDir.Fからなる同ユニット。

私が彼らの音楽を聴いたのは、アルバム『ジパング』が最初だった。Apple Musicに大きく取り上げられていたため、気になって聴いてみたのだった。そして、1曲目に収録されている「シャクシャイン」でパンチを食らった。

ぶっ飛んでいる、というのが率直な感想だ。何といっても歌詞がおもしろい。

地名をひたすら羅列していると思ったら、突然、“食らえマルちゃん焼きそば弁当”と必殺技のように食べ物が飛び出す。さらに、“白い恋人”や“マルセイバターサンド”などのお菓子まで続々登場。北海道の魅力がたんまり詰め込まれたこの曲に、私は衝撃を受けずにはいられなかった。

まさかの一発ノックアウト。強烈なアッパーだった。

こうして水カンにすっかり虜になった私は、特に歌詞の部分に魅力を感じている。

今回は、ケンモチヒデフミさん(以下、ケンモチさん)が作詞を担当している曲をいくつかピックアップして、その個性的な歌詞を紹介していきたい。

“人”をテーマにした楽曲

昔話やおとぎ話に登場する人物から歴史上の偉人まで、ある特定の“人”について想像力を膨らませながら書くところが、何といってもケンモチさんの魅力だと思う。

例えば、楽曲「桃太郎」のMVを観てほしい。

この桃太郎、昔話に登場する桃太郎とは全く異なる人物として描かれているのが分かるだろうか。

昔話の桃太郎は、村人たちに悪さを働いている鬼を退治しようと、イヌ、サル、キジを従えて鬼ヶ島へ果敢に躍り出る物語だ。

しかし、この桃太郎は、宿題も勉強もせずにゲームに明け暮れている姿が描かれている。しまいには家を追い出され、ペットのイヌ、サル、キジと仕方なく鬼退治しに行くという、本来の桃太郎の性格とは真逆で、どこか現代風にアレンジされたストーリーになっている。

また、曲中には元ゲームソフト開発・販売会社の“ハドソン”や、「ファミコン名人」として名が知られる“高橋名人”、さらにゲーム機のコントローラーのボタンを1秒間に16回押すという高橋名人の必殺技“(魂の)16連射”などが登場。

加えて、桃太郎がファミコンのコントローラー・2コンに付いているマイク(2コンマイク)から“一緒に行こうよ鬼が島 あなたの助けが必要です”と叫ぶシーンも描かれており、ゲーム好きなファミコン世代に刺さる内容となっている。

現代風のアレンジが施された楽曲は、他にもたくさんある。

例えば、芸能の神であり、日本最古の踊り子でもあるアマノウズメが登場する「アマノウズメ」では、歌詞中に“ディスコ”が出現する。その他、江戸時代なのに“運転席”や“助手席”、“後部座席”といった車の表現が描かれる「松尾芭蕉」などがあり、ユニークな人物が描かれている。

ケンモチさんは、小説や映画からのアプローチも忘れない。

太宰治の短編小説『走れメロス』からアイデアを引き出しつつも、歌詞中には“ハナ・アタマ・クビ”と競馬を匂わせるフレーズが登場する「メロス」の他、「一休さん」では昔話の要素を取り入れつつも、“レインボーブリッジ封鎖できません”と映画『踊る大捜査線―』からピックアップされたワードが入っている。また、「オードリー」では、映画『ローマの休日』で主演を務めたオードリー・ヘップバーンが題材となった楽曲だ。

このように、ケンモチさんは“人”がテーマの曲の描き方がとにかく独創的で魅力にあふれているが、彼の作詞力がスゴいのはそれだけにとどまらなかった。

テーマはそっち!? 敢えて主題をタイトルに入れない楽曲

「見ざる聞かざる言わざる」という曲を聴いてみてほしい。

曲中には、タイトルにもある、栃木・日光東照宮にいる三猿が登場する。

しかし、“「せざる」という4体目のシンボル”が歌詞に登場するのを忘れないでほしい。

三猿の元となったのは、孔子の『論語』だ。曲中にも、“礼にあらざれば”という『論語』の中に登場するフレーズが出てくる。そして、その中で孔子は「見るな、聞くな、言うな」の3つの教えだけではなく、「するな」の4つ目の教えを説いているのだ。

ただ、なぜか三猿しか残っていないことに目を付けたケンモチさんは、“最近用はない”や“少々品がない”などと、4体目の「せざる」の気持ちになってこの曲を書いたものだと私は思っている。

だから、この曲のテーマは「見ざる聞かざる言わざる」ではなく「せざる」なのだと思う。ただ、曲名を「せざる」にしなかった理由は、おそらく「せざる」が日光東照宮にないからだろう。

ケンモチさんが“天才”とささやかれる理由は、こういうところにあるのだろう。

何この歌詞! 一般的な曲名のイメージとはガラッと異なる独創的な楽曲

もうひとつ、面食らった曲を聴いてみてほしい。

ひたすら駅名が登場する歌詞。そして、付けられた曲名は、すごろくでも、人生ゲームでもない。「モノポリー」だ。そこに深く感心した。

モノポリーは、アメリカで誕生したボードゲームのひとつ。すごろくや人生ゲームとルールは何ら変わらないが、マス目にはさまざまな鉄道会社や地名の他、駐車場や刑務所などが描かれている。

ここからケンモチさんはヒントを得たのではないかと思うのだ。鉄道の代わりに電車という、日本人にとって馴染みのある交通手段に置き換え、歌詞には路線名も登場する。また、“二重橋前 再逮捕”というフレーズからは、モノポリーで登場するGO TO JAIL(刑務所行き)の名残りであるかのように感じる。

そんな、ケンモチさんのセンスがきらりと光る曲となっている。

曲名も歌詞も独特! 言葉遊び巧みなオリジナル要素あふれる楽曲

最後に、「ディアブロ」を聴いてみてほしい。

“Dear 風呂”とスペイン語の“悪魔(Diabro)”の意味、さらに“ディアブロ”というゲームの要素を掛け合わせた曲名となっているのが特徴だ。

歌詞中には、“デビル デーモン サタンにルシファー”と悪魔に関連するフレーズが登場する他、“あくま(悪魔)で昇天”という掛け言葉も見受けられ、MV中でも悪魔やゲームが登場する。

また、曲中には韻を踏んでいる箇所が多く見られ、オリジナリティあふれる楽曲となっている。

感想

このように、ケンモチさんが持ち前の豊かな想像力を発揮しているのは、“人”がテーマの曲だけでない。

ケンモチさんはステージに上がらないものの、しっかりと縁の下の力持ちとして活躍されているのがスゴいところ。

5月15日に発売されるアルバム『沸騰 沸く ~FOOTWORK~』も期待できるに違いない。

それにしても、これを書いていたら、また水カンのライブに行きたくなってきた。

コムアイちゃんのパフォーマンス、また生で観に行きたい。

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水曜日のカンパネラの武道館ライブの模様(PHOTO:水曜日のカンパネラ 日本武道館公演〜八角宇宙〜 のもの)

オメでたい頭でなにより、多幸感あふれる“ヒューマンドラマ”が炸裂!【今いくねくるね 東京公演 ライブレポート】

初めての全国ワンマンツアー「オメでたい頭でなにより"1"マンツアー 〜今 いくね くるね〜」を開催中のオメでたい頭でなにより

今回はメジャーデビュー1周年を迎えた4月4日に開催された、東京公演のライブの模様をレポートする。※ネタバレ注意※

はじめに

CDJで観たオメでたのライブが忘れられなかった

赤飯の発言がずっと忘れられなかった。

年末に開催されている、年越し恒例フェス・COUNTDOWN JAPAN。筆者はCDJ18/19で初めてオメでたのライブを観たのだった。

書く予定だったライブレポートをあきらめ、本能の赴くままに騒いでいたくらい、ライブを堪能していたことを未だに覚えている。

ただ、その楽しさ以上に、ステージの去り際に赤飯が発した言葉が心の奥のほうで引っかかっていた。

しかしおととい、その言葉の謎がやっと解けたのだった。

赤飯にはつらい過去があったのだ。

オメでたの魅力とは?

2018年にメジャーデビューを果たした、“日本一オメでたい人情ラウドロックバンド”オメでたい頭でなにより(通称:オメでた)。

「楽しく、幸せに騒げる、底抜けに自由でオメでたいバンド」をコンセプトに掲げている彼らは、大人だけでなく子どもも楽しめる、その世界観が逸脱している。

例えば、誕生日を祝福した楽曲や、結婚式の曲と聞いて誰もが想像するだろう「結婚行進曲」のメロディーを取り入れたオメでたい楽曲。それから、誰もが知る童謡「だるまさんがころんだ」をもじった楽曲をリリースしている。

また、アイドル要素全開の楽曲を作ったかと思いきや、Queenの「We Will Rock You」をオマージュした曲を出したりと、曲中にコミカルな要素がたくさん散りばめられている。

さらに、サウンド面も素晴らしい。

まるで女性が歌っているかのような可愛らしい歌声から、シャウトやスクリームといったデスボイスまで幅広く歌い上げるボーカル・赤飯をはじめ、メンバー一人ひとりが高い演奏技術を持ち合わせている。

彼らが奏でるラウドやポップなどのサウンドがコミカルな世界観と合わさることで、抜群のスパイスを効かせている。

筆者はそのユニークな音楽性に心を奪われ、オメでたのワンマンライブに行くことを決めたのだった。

開演前

始まる前から他アーティストの曲で大盛り上がり!

入場開始から少し経った頃にロックバンド・ヤバイTシャツ屋さんの「ハッピーウェディング前ソング」が流れ始めると、会場は「キッス!」と「入籍!」を口ずさむ人が続出。音響さんがボリュームを上げてくれたこともあり、大合唱が始まる。

その後流れたロックバンド・KEYTALKの「MONSTER DANCE」では、歌いながら振り付けを披露するオメっ子(オメでたのファンの呼称)が後を絶たず、再び音響さんがボリュームを上げる。

「さすが」「できる音響さん」などの称賛の声が上がる中、気づけば辺り一面、踊りながら歌う人であふれかえっていた。

オープニング

架空のラジオ番組の他、オメマッチョ29が“筋肉美”を見せつける!

開演時間を迎えると、「来たぞーい。赤飯の『オールナイト会場』!」とラジオ番組がオンエアされているような演出で場内を盛り上げていく。

ラジオ番組風の演出内では、4月4日のライブ終了後に感想が送られてきたことを想定した、お客さんからのお便りを読み上げるコーナー「うろ覚えライブ予想図2」を実施。

「筋肉に刺激、いくねくるね~」という架空のお客さんの感想を読み終えると、赤飯、ギター・ボーカルを務めるぽにきんぐだむ、そしてパーソナルトレーナー・植田知成さんの3名からなるオメマッチョ29がタンクトップ姿で登場。会場からはどよめきが起こる。

そして、「まずは二頭筋を見せるトレーニング!」「次は大胸筋を見せつけるトレーニング!」「最後のポージングいきましょう」と次々と筋肉美を見せつけていくオメマッチョ29に、会場からは笑い声が絶えない。途中、3人がタンクトップを脱ぎだすと、歓声が上がった。

最後にダンスのトレーニングを披露し終えると、オメマッチョ29はその場を後にした。

その後、赤飯は「まさか自分の身体がこんなに変化するなんて 昔の自分には想像出来なかったです」という驚きとともに、植田さんに対する感謝の気持ちを自身のTwitterで綴っている。

本番

そこら中、“力士”だらけ!? あの曲でスタート!

赤飯をはじめとするメンバーが法被風の衣装に着替えて登場すると、さっそくテレビアニメ「火ノ丸相撲」のエンディングテーマとして起用された「日出ズル場所」でキックオフ。

横綱を目指す少年がさまざまな敵や困難と戦うストーリーが描かれている同アニメの背景を受け、土俵やちゃんこなど、歌詞中に相撲が想像できる言葉が散りばめられている同曲。

ライブでは、この曲で観客を土俵入りさせ、フロアは力士のような振り付けを披露するオメっ子であふれていた。

そこにMVでも飛び交っているレーザーネオンの演出を取り入れることで、観客をさらに盛り上げていく。

また、およそ15秒間にわたる赤飯のロングシャウトを響かせると、観客からは歓声が上がった。

続いて披露されたのはメジャーデビュー曲「鯛獲る」。演歌の要素やタイ語も交えながら、ラウドかつポップでキャッチーな楽曲に仕立てた同曲に、オメっ子たちは大盛り上がり。「オメでたい」の掛け声も飛び交い、会場はますますヒートアップしていく。

その様子を見た赤飯は、開演前にヤバTの楽曲でオメっ子たちが盛り上がっていたこともあってか、オメっ子たちをヤバTのファンの呼称「顧客」と呼ぶ遊び心も覗かせていた。

“お寿司の曲”では、オメっ子たちのやさしい心遣いが垣間見える!

その後は「wosushi~ウォールオブ寿司~」をドロップ。ブロックごとに“ネタ”と“しゃり”パートに分かれ、ぶつかり合うことで“寿司”が作られるウォールオブデスが繰り広げられた他、サークルモッシュの“回転寿司”もあちこちで発生した。

一見、危険そうに見えるが、オメっ子はただ自分が楽しければ良いという感覚がない。

オメっ子もメンバー同様、人情味あふれる人たちが多く、ウォールオブデスに不安気な表情を浮かべていた女性客を気遣ってやさしくハイタッチしていた男性客や、サークルモッシュで倒れた観客を助け合う光景も見られ、みんな楽しそうな笑顔を浮かべていた。

途中のMCでは、座席について説明する一幕が。ライブが初めての人や騒がずにゆったり観たい人向けの「デリケートゾーン」を下ネタも織り交ぜながら紹介する他、小学生までの親子席「大五郎シート」について説明。

ライブを観に来ていたオメっ子キッズに向けて赤飯が語りかけ、「ちゃーん」と子どもに叫んでもらうと、会場からは笑みがこぼれる。フロアからは「かわいい~」といった声が相次いだ。

そして、今度は「えんがちょ!」へとバトンタッチ。

ヘドバンの嵐に大合唱! フィーバーするオメっ子

その後、「言葉のあやや」でヘドバンの嵐を巻き起こし、ネガティブを前面に押し出した楽曲「HELL"O"」で大合唱を巻き起こしたオメでたは、色恋ソング「サイレンとジェラシー」へと持ち込んだ。“嫉妬”がコンセプトでありつつ、下ネタも豊富に取り入れられた同曲では、会場が熱気に包まれていた。

そのまま赤飯が「あー悶々する、悶々するよー!」とMCに繋げると、女性客からは黄色い声が飛び交った。

そして、赤飯はオメでたのライブがきっかけで仲良くなった人がたくさんいるというオメでたい話を聞けてうれしい気持ちを率直に吐露。中には付き合えた人、さらに結婚した人までいることを明かしたかと思いきや、誰もが一度は聞いたことがあるであろう「結婚行進曲」のメロディーを取り入れた楽曲「ピ」へ流れるように持ち込んでいく。

次に披露されたのは、「終わらない恋からの脱出」。DREAMS COME TRUEを漂わせ、敬意も感じられる同曲へとスムーズに繋げた。

オメでたの魅力の一つは、楽曲によっては他アーティストへのオマージュが見受けられるところがある点だと思う。

ご当地“鯛アップ”企画も実施!

続くMCでは、思い通りにいっていない曲があることを説明。楽曲「鯛アップ」は、企業とのタイアップを望んでいることをアピールしている楽曲とのことだが、まだ好ましいリアクションが得られていないそう。

そんな状況を打破すべく、「勝手にご当地タイアップ企画」を行いながらツアーを回っているオメでたは、全12公演で行われる各地の魅力を「鯛アップ」の歌詞に入れ込んでいることを紹介した。

東京公演では、通常の「鯛アップ」の他、マイナビBLITZ赤坂を押さえてくれた樋さんに感謝の気持ちを込め、歌詞の一部を「やれてよかった 樋樋樋」と変えた「ご当地鯛アップ」の2曲を続けざまに披露。

途中、樋さんがスクリーンに映し出され、温かい笑い声が絶えないパフォーマンスとなった。

その後も“オメでたい楽曲”が続々!

その後は“アイドルあるある”を歌い上げたアイドルチューン「推しごとメモリアル」へ。

サビでは、ぽにきんぐだむ、ギター・324、ベース・mao、そしてドラム・ミト充が、オメっ子たちと一緒になってダブルピースを掲げながら全力ダンスを披露し、再び演奏に戻るというファインプレーを演じていた。これには会場もますますヒートアップ。

続いて披露された「ダルマさんは転ばない」は、童謡「だるまさんがころんだ」のオマージュ。ライブ中にだるまさんがころんだが始まると、2階から子どもたちからの幸せそうな笑い声が弾けた。

それを聞いた赤飯がうれしそうに2階席を指差し、オメっ子キッズのために温かいトークを始めたかと思いきや、再びだるまさんがころんだを開始し、会場からは終始笑い声が絶えない。

歌い終えると、汗だくな会場にぴったりな「スーパー銭湯~オメの湯~」へと紡いでいく。途中、赤飯が巨大なアヒルに乗ったまま観客の上へダイブする場面もあり、ますますフロアを沸かせた。

赤飯、感涙! 悔しい過去があるからこそ、その姿は美しかった

続いて披露されたのは、「We will luck you」。Queenの「We Will Rock You」をオマージュした同曲では、地響きが鳴り響き、大合唱が繰り広げられた。

オメっ子たちが高くダブルピースを掲げると、赤飯の目には涙が。そして、涙ながらにもうすぐマイナビBLITZ赤坂がなくなるという話を始めた。

赤飯は今とは違う形で同じ会場に立っていた過去があるという。努力や苦労は見せるものではないと考えているため「昔のことなんて知らなくていい」と言っていたが、この日は過去の悔しさを少しだけ打ち明けてくれた。

そこで私はピンと来たのだった。CDJで赤飯は世の中に対してあんまり良いイメージを抱いていないという発言をしていたのは、そのことだったのかと思った。

楽曲「言葉のあやや」でも、「この世は世知辛く」という歌詞が登場する。また、「鯛獲る」でも「逆境の日々」というフレーズが登場する他、「えんがちょ!」でもさまざまな災難を歌っている。

本当に悔しくてつらかったのだと思う。でも、だからこそ、赤飯がこの日流したうれしさと悔しさが入り混じったような涙は、とても美しかった。ちょうど苦しい時期にいるオメっ子の心境を言葉にしてくれたような気がした。

筆者は今、つらい時期にいる。だからこそ、赤飯の言葉に心が動かされ、元気と勇気をもらえたのだった。

その後披露されたのは、「ザ・レジスタンス」。みんなで起こした最高の反撃。この革命的な光景を、私はきっと忘れることはないだろう。

そして最後は「オメでたい頭でなにより」でヘドバンの嵐を巻き起こした。

アンコール

最後まで驚きいっぱいのパフォーマンスに目が離せない!

「We will luck you」の大合唱でアンコールを待ち望む中、再び姿を現したメンバー。

この日で1周年という、バンドの誕生日を迎えるのにふさわしい「VIVA!ハピバ」でアンコール1曲目が始まると、オメっ子たちに風船のプレゼントが贈られるサプライズが待ち受けていた。

たくさんのバルーンに囲まれる中、「宴もたけなわプリンセス」「チャバシラタッター」を続けざまに投下し、オメでたいセットリストで幕を閉じた。

終演後

やさしさあふれるオメっ子の姿にほっこり

終演後はオメっ子による、やさしい世界が広がっていた。

2階席の大五郎シートにいるオメっ子キッズのために、1階にいる大人たちが風船をプレゼントしようと賢明にバルーンを投げているのだ。ものすごく感動した。

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オメでたワンマンライブに参戦!

また、この日の公演後、赤飯は自身のTwitterで「みんなで起こした最幸の反撃。ここに来るまで約4年。今笑えてるならどんな過去も全て受け止められる。いつもきっかけを与えてくれてありがとう。わしらはこれからも音返しし続けるよ。誰かの何かのきっかけになれるように」などと綴っている。

感想

オメでたのライブは、ライブを超えていた

この日観た光景は、ヒューマンドラマやハートウォーミングストーリーに近いものを感じた。

オメでたメンバーとオメっ子たちが作り上げる素敵な光景に筆者はものすごく感動し、必ずまたライブに行くことを心の中で誓ったのだった。

【[ALEXANDROS]「ワタリドリ」】卒業生と、夢や目標を追いかける全ての人へ

卒業シーズンの今日。

この時期になると必ずといっていいほど聴きたくなる楽曲がある。

ロックバンド・[ALEXANDROS]の「ワタリドリ」だ。

卒業生の他、夢や目標を追いかけている人すべてに読んでほしい。

筆者の過去

複雑な気持ちのまま迎えた卒業式

明日、母校の卒業式が行われる。

後輩たちは一人ひとりどんな心境で卒業式を迎えるのだろうか。

筆者は2年前に大学を卒業したのだが、振袖と袴を身にまとった華やかな姿とは裏腹に、複雑な心持ちのまま卒業したのだった。

就活に失敗した過去

私はずっと“書くこと”を仕事にしたかった。

そのため、就職活動では出版業界やWEB業界を中心に受け続け、何度落ちてもあきらめきれず、12月まで粘ったのだった。

しかし、結果は全敗。

仕方なく他の業界に目を向け、そこで卒業式までに内定を勝ち取ったものの、心は全く納得いかなかった。

それでもあきらめきれなかった夢がある

4月になり、新卒で入社した会社で働きながらも、私は自分の夢をあきらめきれなかった。

そこで私は働きながら転職活動を始め、ついに夢を掴んだ。

時間は掛かれど、目標に向かって手を伸ばし続ければ、いつかその努力が結ぶ日がくることを学んだのだった。

「ワタリドリ」から勇気をもらえた

明日、もしかしたら私のように就活を失敗してしまった卒業生がいるかもしれない。

また、なかなか目標が達成できず悩んでいる人もいるかもしれない。

そんな人にこそ、[ALEXANDROS]の「ワタリドリ」を聴いてほしい。

この曲は私を勇気づけてくれた、思い入れの強い曲となっている。

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夢を叶えるため邁進し続ける[ALEXANDROS] (PHOTO:Tour 2016〜2017 〜We Come In Peace〜 2017.04.22 幕張メッセ公演時のもの)

[ALEXANDROS]略歴 

順風満帆ではなかった[ALEXANDROS]

[ALEXANDROS]がこれまで歩んできた道のりも、波乱に満ちたものだった。

2007年に結成し、2010年にリリースしたファーストアルバム『Where's My Potato?』でデビューを果たした彼ら。

当時は、ボーカル・川上洋平らが敬愛するロックバンド・Oasisの楽曲「Champagne Supernova」から名前を取り、「そこに居るお客さん、スタッフさん、自分達、全ての人達に音のアルコール分が行き渡り、『音』に酔って欲しい」という思いが込められた[Champagne]というバンド名で活動していた。

[ALEXANDROS]の魅力とは?

彼らの魅力は何もルックスだけでない。

フロントマン・川上が歌い上げる英語の発音の良さとハイトーンボイス、さらには甘く美しい、どこか色気も漂う歌声は多くの人を魅了してやまない。

そんな川上を支えるメンバーも、それぞれが独自の存在感を放っている。

ドラマー・庄村聡泰が叩くドラムの豪快さと、他のバンドと比べて位置が圧倒的に高いシンバルは抜群な存在感を見せ、ギタリスト・白井眞輝は、荒々しいサウンドから温かみのある音まで、フレーズによって多彩な音色をかき鳴らしている。そこにベーシスト・磯部寛之が正確なベースを奏でることで、素晴らしいハーモニーが生まれる。

実力派なバンドだけに早くから売れていたと思われることも少なくないが、実際はそうではない。

パクリ疑惑で炎上

一つ目の騒動は2013年に起きた。

楽曲「Forever Young」に“パクリ疑惑”が浮上したのだ。

同MVが、オーストラリアのグループ・ClubfeetのMV「Everything You Wanted」と映像や構図などが似ているため、海外アーティストのMV制作会社側が怒りのコメントを発表する事件があった。

その後、「Forever Young」のMVは削除され、[ALEXANDROS]の所属する事務所側が企画演出を担当したことを発表し、謝罪した。

また、楽曲のAメロがOasisの「I Hope, I Think, I Know」と似ているといった声や、他の楽曲も盗作しているといった声が相次いだ。

バンド名を改名

さらに追い打ちをかけるかのように、2014年にはフランス・シャンパーニュ地方のワイン生産同業委員会からバンド名に対してクレームが入るという事件があった。

このことにより、同年3月28日に開催された自身初となる日本武道館公演で、[Alexandros]に改名したことを発表するという異例事態が発生した。

2つの山場を乗り越えた[ALEXANDROS]

イギリスで開催される、世界最大級の音楽フェス「グラストンベリー・フェスティバル」でヘッドライナーを務めることをバンドの目標に掲げている[ALEXANDROS]。

どんな逆境に立とうとも、粘り強くバンド活動を続けてきた彼らは、2016年にリリースしたアルバム『EXIST!』で初のオリコンチャート1位を獲得。

さらに、今では2015年にリリースされた名曲「ワタリドリ」を知らない人はいないほどの人気っぷりを見せている。

今回はそんな「ワタリドリ」について、独断と偏見で書いていきたい。

 「ワタリドリ」歌詞考察

この曲は、[ALEXANDROS]がこれまでの経験を踏まえた上で作ったものなのではないかと考えた。

I wanna fly so high 

Yeah, I know my wings are dried

「翼仰げば」って人は云う

 

その向こうにあるは無情

飛べる者 落ちる者

高く飛びたいというのは、早く売れたいという意味なのではないだろうか。

まずは、当時の彼らにとって、オリコンチャート1位を獲得するという目標があったのかもしれない。

しかし、その先にあるものは、彼らが目標として掲げる「グラストンベリー・フェスティバル」でヘッドライナーを務めることだと思う。

早く売れたいのに、まだ売れない。それは、2つの困難をようやく切り抜けたばかりだからだろう。

しかし、周りの売れていっているバンドから「早くしなよ」と軽々しく言われるのだと思った。

誰も見てない

気にも留めない

それでも飛び続けた

2つの事件が起きてしまったことで、次第に周りの売れているバンドからは注目されなくなっていったのだろうか。

それでも、彼らが掲げる夢や目標を掴もうと、ひたすら賢明に努力をし続けた。

傷ついた言葉乗せ

運びたいから

きっと[ALEXANDROS]は悔しかったのだと思う。

人からいろいろと言われた言葉で傷ついたのだと思う。

ただ、傷ついたままではいられないと思ったのだろう。

その悔しさを逆手に取り、闘争心に火がついたメンバーの様子をイメージした。

追いかけて 届くよう

僕等 一心に 羽ばたいて

問いかけて 嘆いた夜

故郷(まち)は 一層 輝いて

メンバーが夢や目標に向かって一心に挑戦するシーンを想像した箇所。

しかし、そんな努力が報われない日々が続き、自分自身を問い詰めた夜もあったのだろう。

そんなときには、騒動が起きる前の自分が昔いた立場を思い出したり、騒動前に戻りたいと思ったときもあったのだと思った。

ワタリドリの様に今 旅に発つよ

ありもしないストーリーを

描いてみせるよ

どんなに辛い日々があろうとも、夢や目標を必死に追いかけ続けるメンバー。

騒動前よりずっと成長した自分になるため、未来を切り開くという固い意志が感じられた。

I wanna fly so far

away with my guitar

「一人じゃない」って人々は歌う

 

間違いじゃない

理想論でもない

ただ頼って生きたくはない

“一人じゃない”のは、川上をサポートしてくれるメンバーの他、ファンがいるからだろう。

しかし、周りに頼ってばかりでは、彼の美学に反するのだと思う。

自身の武器・ギターのスキルも磨きながら、彼らの夢を絶対に夢を叶えてみせるという強い意気込みが感じられた。

誰も聴いていない

気にも留めない

それでも歌い続けた

 

傷ついた あなたを

笑わせたいから

まだファン以外の多くの人に彼らの声が届いていないものの、彼らは決して歌うことをやめなかった。

歌い続ける理由は、騒動で傷つけられたドロスのファンのためなのだろうか。

追い風 届けるよ

僕等 一心に 羽ばたいて

遠い過去を 背負ってた

あなたを未来へ運ぶよ

1番で自分たちのために頑張っていたことを歌っていた[ALEXANDROS]が、2番ではファンら彼らをサポートしてくれる周りの人すべてのために頑張っていることがわかる。

自分たちがこれまでたくさん傷つけられてきたため、今度は傷ついた人たちを救いたいという思いがあるのだろう。

夢や目標に向かって頑張るリスナーを歌で後押ししたいという思いも感じられた。

ワタリドリの様に今 群れをなして

大それた四重奏を 奏で終える日まで

4人揃って[ALEXANDROS]。

彼らが奏で続ける限り、周りの人をサポートし続けたいという思いが感じられた。

All this time we come and we grow

Now it's time that we should go

But we both know that this is for sure

It's not the end of the world

Well, see you one day

ファンのために頑張ってきた音楽をやめ、今度は再び自分たちのために音楽を奏でていきたいという意味なのだろうか。

また、「だからといって、ファンのことは見捨てない。またライブやフェスで会えるから」という思いやりも感じられた。

追いかけて 届くよう

僕等 一心に 羽ばたいて

問いかけて 嘆いた夜

朝焼け色に 染まっていく

 

ワタリドリの様に いつか舞い戻るよ

ありもしないストーリーを

いつかまた会う日まで

再び自身の夢を追いかけだした[ALEXANDROS]は、次々と過去の自分たちを越えていき、理想の未来に向かいながら、新たなる一歩を踏み出している姿を想像した。

新しい自分になって帰ってくる日を楽しみに、それまで待っていてほしい。

そんなメッセージ性が込められていると思った。

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(PHOTO:Tour 2016〜2017 〜We Come In Peace〜 2017.04.22 幕張メッセ公演時のもの)

感想 

物事の終わりというのは全て新たな始まりを意味するものだと思う。

学生さんは、長年の学生生活が終わると同時に、社会人としての新生活が始まるだろう。

夢や目標がある人は、それらが叶っても、また新たな夢に向かって追い続けるに違いない。

私にもまた新たな夢ができた。

なかなか努力が実らないが、辛い過去があるからこそ、それを糧に新たな目標を掴みたい。