ミュージック バンク

ミュージック バンク

感性に訴えてきた楽曲を、ちゃんさきセレクションでお送りする音楽ブログ。独断と偏見で綴っています。

MENU

岡崎体育の“胸の BASIN TECHNO の文字は消えることはない”! SSAで魅せたロックスピリット

最高にロックな時間だった。

かねてからさいたまスーパーアリーナでのワンマンライブを目標に掲げてきた、シンガーソングライター・岡崎体育

7年前から見続けたその夢を、6月9日、ついに現実にする日がやってきた。

この日、岡崎体育は18,000人もの観客を集客することに成功し、一人ひとりを彼のユニークな世界観へと引き込んでいった。

ライブのタイトルは「BASIN TECHNO」。自らの音楽スタイルとおんなじ名前だ。岡崎さん自身を表すのにぴったりのタイトルだと思った。

ついにやってきた“その日”

オープニングでは、岡崎体育のシルエットが大きく映し出され、胸のあたりに「BASIN TECHNO」の文字が一文字ずつレーザーでくっきりと描かれていく。

岡崎さんが、何度「いつかはさいたまスーパーアリーナで口パクやってやるんだ 絶対」と公言してきたかわからない。少なくとも私は岡崎さんのライブに行くたんびに、何度もその夢を岡崎さんに“説明”されてきた。“説明”されるたんびに、応援してきた。私も夢を追いかけているからこそ、絶対に岡崎さんに叶えてほしかった。

そして、“その日”が来るのがどれだけ待ち遠しかったかわからない。それは、もちろん岡崎さんもそうだろう。岡崎さんがいちばんそう思っているのに違いない。

映し出された影法師がなんとなくそれを物語っていた。岡崎さんが片手に持っていたマイクに相当な力が込められているように感じた。

そして、岡崎さんが登場すると、彼は力強く叫んだ。

「夢を叶えに来ました!」

自然と笑みがこぼれる。気づけば、拍手にも一段と力が入っていた。

“この日”だけのスペシャルパフォーマンス

岡崎さんはこの日、サイレントパフォーマンスを繰り広げたり、宙を舞ったり、原付バイクでステージを走り回ったり、ディズニーのエレクトリカルパレードを彷彿とさせるトロッコで会場を1周したりと、この日だけのスペシャルなパフォーマンスも多々見せてくれた。

他にも、スタッフに扮していた藤木直人さんがステージに登場したり、エノキで周囲を飾り付けられた中央ステージでお友だち・てっくんがメジャーデビュー曲「フェイクファー」を披露したり、だいぶ早いバースデーケーキが突然出現して引っ込んだりと、さまざまなサプライズがあった。

岡崎さんが好きなことをとことん、笑顔で、楽しそうにやっていた姿は、私にはとても輝いて見えた。夢を叶える人は、周りの人に夢を見させてくれる人なんだと思った。

岡崎体育から学んだこと

だが、岡崎さんはいつも通りのことをいつも通りやっているだけだと言っていたことが忘れられなかった。いつも通りのことをいつも通りやることというのは、そう簡単なことではないように感じる。

MCで、岡崎さんは会場を指差しながら、ひと区画を集めるにも5年かかったと言っていた。5年前は1人か2人のお客さんしか集まらなかったそうだ。

また、チケットの予約数が100人という目標を到達してよろこんでいたものの、当日台風が直撃してしまった日のことも明かしてくれた。最終的には90人近くのお客さんが来てくれたことがうれしかったと話し、感謝していた。

悲しそうな表情もいっさい見せずに、淡々と語っていた。岡崎さんに凛とした強さを感じた瞬間だった。当時から自分なりのパフォーマンススタイルを貫いてきたというのも尊敬する。

私にも出版社に勤めたいという目標があった。まずは記者という形で入り、ゆくゆくは編集者として働きたかった。そのために自分の得意なことを伸ばそうと、好きなアーティストのライブへ行ってライブレポートを書いたり、企画案を誰よりも考えたりした。

ただ、頑張りすぎて空回りし、徐々に自分を見失ってしまい、病気が再発。さらには周りの一部の人に理解されず、冷たくされるといった日々を経験した。自分のペースが崩れてしまった結果、夢を手放すこととなってしまった。

今となってはものすごく後悔している。だからこそ、この日披露された“大事なものをなくして 大事なものを見つけた”という「The Abyss」の歌詞が沁みた。そして、ヤバイTシャツ屋さんら多数のアーティスト、芸能関係者の他、小さな子どもから大人まで、たくさんの人に愛されながら、自分のペースを見失わずに好きなことを貫き通す岡崎さんのライブにものすごく感動した。

さいたまスーパーアリーナでのワンマンライブは、さまざまな人に夢や希望、そして笑顔を与えてくれたに違いない。好きなことを貫きながら、自分らしい方法でずっと継続していける人、それが夢を叶えるための方法なのだと思った。

ここで終わらない岡崎体育

最後に岡崎さんは「Explain」を披露してくれた。“さいたまスーパーアリーナで口パクやってやる”と、何度も岡崎さんに“説明”されてきた夢をついに叶えたのだ。「この場をもって最後」という言葉とともに披露された同曲のイントロで、私は感極まって涙した。

でも、岡崎さんは違った。彼は決して泣かなかった。それどころか、ずっと笑顔だった。終始笑顔で気持ちよさそうに楽しんでいた。

岡崎さんはここで終わらない。夢が叶って、そこで終わりじゃない。岡崎さんは大阪の体育館で来年の2月にワンマンライブを開催することが決定している。これからも次から次へと目標に向かって歩み続けるに違いない。

彼の“胸の BASIN TECHNO の文字は消えることはない”のだ。オープニングで映し出されたシルエットの意味は、そんなメッセージを伝えてくれているように感じた。

f:id:k_cat51alom:20190610130841j:plain

岡崎体育の“胸の BASIN TECHNO の文字は消えることはない”だろう