ミュージック バンク

ミュージック バンク

感性に訴えてきた楽曲を、ちゃんさきセレクションでお送りする音楽ブログ。独断と偏見で綴っています。

MENU

馬鹿にできない“さいたま”、ココにあり! 太鼓の達人がアツかった

久々に太鼓の達人にハマった。

そのきっかけは、「さいたま2000」という“神曲”にある。

知らなかった「さいたま2000」

筆者が太鼓の達人で遊んだのは、小学生以来。

小学生の頃、PS2のゲームソフト「太鼓の達人 あっぱれ三代目」、そして和太鼓型コントローラー・タタコンも併せて購入し、主に「かんたん」と「ふつう」モードでプレイしていたことをよく覚えている。

しかし、当時の私は音ゲーよりも、サルゲッチュクラッシュ・バンディクー、クロック!パウパウアイランドなどのアクションゲームに熱中していた。

そんなこともあってか、同ゲームの隠し曲である「さいたま2000」の存在を知らなかった。私の中では「メカデス。」が難易度の高い曲という記憶のままで止まっていた。

 

それから数十年経った最近の話だ。何気なくテレビを眺めていたところ、太鼓の達人のCMが目に留まった。

小学生時代に遊んだ記憶が思わず蘇ってくる。CMで放送されていたのはNintendo Switchのものだったが、スマホでも同ゲームがあるような思いから、気になって検索してみたのだった。

その予測は見事的中。そして、ヒットした太鼓の達人を早速ダウンロードし、曲を選ぶ画面でたまたま視聴した「さいたま2000」に度肝を抜かれたのだった。全楽曲の中で、ひときわ異彩を放っていたのだ。

サウンドで攻める「さいたま2000」

「さいたま2000」の魅力は、まずキャッチーかつハイスピードなサウンド面にあると思う。

ハードコアテクノのひとつであるロッテルダムテクノ、あるいはガバとも言われるジャンルに属する同曲は、高速BPMが特徴的だ。同曲のBPMは200を超えているらしい。

そして、それが踊りたくなってしまうようなダンサブルなチューンと合わさることにより、中毒性を引き起こしているように感じた。

何より衝撃を受けたのは、この楽曲が2003年に発売された「太鼓の達人 あっぱれ三代目」の隠し曲として入っていたことなのだ。

 

2003年にハードコアテクノで攻める音楽ゲームがあっただろうか。少なくとも、私は知らない。そしてその当時、ハードコアテクノが流行っていたとも思えないのだ。

テクノで代表的なアーティストだと、YELLOW MAGIC ORCHESTRA(通称:YMO)やPerfumeが浮かぶのではないだろうか。しかし、両者ともテクノポップを代表するアーティストであって、ハードコアテクノとはまた異なる。

そんな中、ハードコアテクノの「さいたま2000」がゲーム音楽として起用されたことは、斬新かつ先鋭的だったように感じた。

歌詞でも魅せる「さいたま2000」

そんな魅力的な「さいたま2000」だが、遊び心あふれた歌詞にも関心させられるものがある。

「脳内カーニバルだどーーん!!」という掛け声からスタートする同曲。そこから譜面に合わせて高速で太鼓の面やフチを叩いていくのだが、途中、太鼓の達人の赤いキャラクター・和田どん(通称:どんちゃん)の寝ぼけ声のような、何を言っているのかよく分からない声、さらには混乱したノイズなどのサウンドが流れてくる。

その後は、「さ!」「い!」「た!」「ま!」と、まるで嘘とカメレオンの「JOHN DOE」で「(Un, deux, trois)」と発しているようなパート、さらにはFear, and Loathing in Las Vegasの「Rave-up Tonight」でもお馴染み、「北斗の拳」の北斗百裂拳を想起させる「アタタタタタタ!」という箇所が存在する。

そして、今度はモールス信号が流れたかと思いきや、突然「今日のごはんは?」と聞かれ、豚カツとカツ丼で激しく悩む様子が描写されたような“とんかつ地帯”に突入するのだ。

 

そんな“脳内カーニバル”していないと生まれないような曲だと思うのだが、この曲を逆再生すると、また見方が変わってくる。

混乱したノイズのところで「あなた好みの太鼓になります!」と言っている他、モールス信号あたりでは「わーい!おめでとう!どどんがどーん!!」と、どんちゃんらしき声が聴こえてくるのだ。

 

この秘密を知ってしまった私は、バンダイナムコ太鼓の達人制作チームに関心した。顔も名前も知らないが、おそらくワクワクすることが好きな人たちや人を楽しませようとしている人たち、そして何より心からゲームが好きな人たちが多いのだろう。

そう思わずにはいられない要素は、同曲の“とんかつ地帯”にもある。「ドン」と太鼓の面を叩く音と「カッ」と太鼓のフチを叩く音を“豚カツ”や“カツ丼”と掛けているところは、制作チームの遊び心があふれていると思っている。

“さいたま”の歴史を振り返る

そんな“神曲”の曲名を見ながら、ふと疑問に思ったことがある。なぜ「さいたま2000」という名前なのだろうか。

今では埼玉は“ださいたま”と呼ばれがちだ。また、映画「翔んで埼玉」でも埼玉県民が差別されている模様が面白おかしく描かれていたことは、まだ記憶に新しいだろう。

埼玉に生まれた私としては、これにはなんだかモヤモヤするものがある。だからこそ、「さいたま2000」という曲名を付けた同曲には、なぜだか無性に気になるものがあった。

もしかしたら、埼玉の良さが分かるかもしれない。そんな淡い期待も込めて、「さいたま2000」の曲名の謎を探るべく、自分なりに埼玉の過去をさかのぼってみることにした。

 

埼玉県の2000年のビッグニュースといえば、さいたま新都心という新たな街が誕生したことであることかもしれない。さいたまスーパーアリーナまで好アクセスの、さいたま新都心駅を使っている人も多いのではないだろうか。

そして、翌年には大宮市、浦和市与野市が合併し、さいたま市となったそう。

確かにそんなこともあった、と思った。当時の私は、突然、自分の住所が変わったことに衝撃を受けたのだった。

また、2ちゃんねるアスキーアート(以下、AA)が流行していたのも、この時代だったのだろうか。モナーが「さいたま!さいたま!」と連呼するAAを、私が小学生の頃によく見かけた記憶がぼんやりとある。

「さいたま2000」という曲名になった真相はよく分からないが、この“神曲”に“さいたま”と入れてもらえたことが、埼玉出身の私としてはうれしかった。

サウンドも歌詞も馬鹿にできない“さいたま”。ぜひ遊んでみてはいかがだろうか。

f:id:k_cat51alom:20191227024839p:image