ミュージック バンク

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感性に訴えてきた楽曲を、ちゃんさきセレクションでお送りする音楽ブログ。独断と偏見で綴っています。

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大事にしたいもの持って大人になるんだ

はじめに

新型コロナウイルスが猛威を振るっている。

感染拡大防止のため、卒業式が次々と中止になるほか、各地で臨時休校の措置がとられるなど、その影響力は凄まじい。

また、ライブやイベントなどの自粛も相次いでおり、エンターテインメント業界に携わる人々の生活が危ぶまれる事態となっている。

そんなコロナの脅威を感じながらも、せわしない日々を送っているのだが、何気なく聴いたKANA-BOONの「シルエット」の歌詞が、心にすっと溶け込んだ。

 

「大事にしたいもの持って大人になるんだ」

 

大事にしたいもの

あなたにとって“大事にしたいもの”はなんだろうか。

家族や恋人という人もいるだろう。自分の時間という人もいるかもしれない。

それが何であろうと、不要不急の外出、および密閉空間・密集場所・密接場面の「3つの“密”」の回避を求められている今だからこそ、自分にとって“大事にしたいもの”を改めて見つめ直し、守るべきタイミングにふさわしいと私は思っている。

 

そして筆者にとってそれは、“夢”と、それから友だちや仲間などの“大切にしたい人”である。これは、およそ3年前からほとんど変わっていない――はずだった。

仕事で忙しくしているうちに、まだ叶えられていない“夢”を心の奥底に眠らせている自分がいることに気づいたのだ。

もしかしたら、“大事にしたいもの”を忘れたフリをしていただけかもしれない。

ただ、きっとずっと変わらない想いがあることを忘れてはならないだろう――。

 

※以下、2017年1月に書いたものをそのまま引用しています

夢を与え続けるKANA-BOON

年末年始に開催されたCDJで大好きなアーティスト、KANA-BOON、を観に行くことのできなかった私は、お気に入りのDVDを振り返ることにした。「KANA-BOONのとぅるとぅるかむとぅるーTOUR 2015 ~夢のアリーナ編~ at 日本武道館」のDVDだ。

2015年という年は私が新成人を迎えた年である。20歳という響きは、当時の私にはすごく新鮮に聞こえた。お酒が飲めるようになったり、選挙に参加できるようになったりできるとともに、それはこれから”大人”として扱われる年齢を意味するからだ。新しい何かに挑戦したい気持ちでいっぱいだった。

そんな私が人生で初めてライブに行ったのが、KANA-BOONの武道館ライブだった。彼らが出演しているフェスには前に参戦したことがあったのだが、彼らの武道館ライブほど私の心を動かしたものはない。KANA-BOONのパフォーマンス、ストーリー性、そしてなんといってもトークの熱さが気に入った。彼らが夢について熱く語っていた、その彼らの発言と姿がどうしても忘れたくなく、ずっと覚えていたい。そんな想いを抱き、私はこのDVDを購入したのだった。今でも強烈に印象に残っていて、ここまで感動したライブは彼らのこの武道館ライブの他にない。

「武道館でやることも夢だったので、バンドとしての夢がまたひとつ叶いました。でもKANA-BOONはこのままでは満足しないということでメンバー一人ひとりの夢を叶えていこうと思うわけですが」と、彼らの夢についてのトークが始まる。どんな夢をそれぞれのメンバーは持っているのだろう?と、当時、私はこの場面ですごいわくわくした。すると次の瞬間「今日はすごいものを用意してます! 鮪の解体ショーをしたいと思います!」と予想をはるかに上回る展開に私は思わず「え!」と大声を上げ、友だちと顔を見合わせたのを覚えている。斬新なアイデアが好きな私は思わず興奮しながら、鮪が解体され、谷口が美味しそうに味わう様子を目を見開いて見守っていた。続く飯田は、セグウェイで観客の間を走り抜け、コールアンドレスポンスをやりたいという夢を実現する。みんなが一団となってひとつの物事をやるのは楽しい。そう感じた。また、小泉は、脱出イリュージョンを華麗にやってのけ、夢は叶えられた。夢実現のラストバッターである古賀は、白シャツ姿になって再登場する。珍しい白シャツ姿に私は目を見張った。そして、「俺の夢は空を飛ぶこと!」と話すやいなや、ギターを抱えたまま宙吊りになる。武道館の2階席の高さまで到達すると、そのまま「盛者必衰の理、お断り」を演奏し始めた。私はとにかく終始笑っぱなし、興奮しっぱなしだった。

夢を実現できて一人ひとり喜ぶメンバーの姿を観て、観ている私まで嬉しくなる、そんな幸せになれる空間を武道館ライブは作り出してくれた。日常生活では、なんであの人はいつも夢を実現できて、私はいつも夢破れるんだろう、と激しい嫉妬の感情に襲われることもあった。だが、他人が喜んでいる様子を素直に受け止めて、一緒に分かち合う大切さをこの武道館ライブは教えてくれた。

また、「シルエット」の前に谷口鮪が語った言葉に私は感動した。「”大事にしたいもの持って大人になるんだ”っていう歌詞があるんですけど。この歌詞を書く時に、『自分にとって大事なものって何やろ?』って考えて。育ったライブハウスであったり、僕らがまだまだ小さい頃から応援してくれてる人たちとか、デビューして新しく出会った人たちとか、目の前にいるみなさんのこと、画面越しでライブを観てる人、学校とかバイトでそれも観れなかった人、そういう人たちのことを思いながら作った歌詞で。いつまでも、みんなとずっと一緒にいたいなって。ほんとわがままなんですけど、そういう曲です。だから、こうやって今日、みんなの前でやれたことを、すごく光栄に思います」

私にとって”大事なもの”ってなんだろう?とすごく考えさせられた。私にとっては夢と、友だちやサポートしてくれる周りの人が大切だと思った。

さらに、「1.2. step to you」での谷口鮪トークにも魅力を感じた。「大阪の三国ヶ丘FUZZっていうライヴハウスから始まり、そこからいろんなことがあってデビューして。僕らここまで来るのに、ものすごくたくさんの夢が叶ったわけです。でも、その叶うまでの道程はもちろん、しんどいこと、嫌なことも多かったし。KANA-BOONは夢がどうたらこうたらうるさいバンドですけど、なんでこうやってたくさん言うかっていうと、頑張れるんですよね、夢があると。それは僕たちがすごく体感していることで。心のどっか奥底に小さな輝きがあれば、人は頑張れる。それをみんなにも教えてあげたい、伝えたいんですよ」そう語った。

最後に「僕らをここまで連れてきてくれて、ありがとうございました。これからも僕らは、大好きな音楽と信念を曲げずに心の中に持ちながら、みんなをどんどんいろんなところに連れていきたいと思います。ずっとそばにいてください」と語り、アリーナ公演のために作った「パレード」を披露した。

私の大きな夢は、音楽ライターになることだ。言葉が一番自分の意見を伝えることができるものだと思っていて、だからこそ言葉が好きだ。就職活動では、憧れていた出版業界、編集、ライターを受け続けた。今のところ全て失敗に終わるも、まだ諦めきれず、未だに選考を受け続けている。いつか絶対になってみせる。そう決心して止まない私は、最近、ライターのアルバイトを始めた。

そこでもまた夢がある。他のアルバイターに負けたくない。今のところ、他の人のほうがやっぱり上手い。でも、私には絶対まだまだ伸びしろがあると思っている。もっともっと、成長したい。そして、爆発的なクリック数を生み出す記事を書き上げるのが夢だ。

親には、馬鹿馬鹿しいとよく否定される。なれっこないと馬鹿にされる。それでも、周りを見渡せば、私を応援してくれている人がいる。

私が夢に向かって挑戦し続けているのは、半分は自分のため。もう半分は、他人のため。夢を叶えて幸せになりたいっていう気持ち。今まで夢なんて叶いっこないって否定してきた人たちをびっくりさせたい気持ち。そして、夢は叶うんだよって人々を勇気付けたい気持ち。そんなたくさんの気持ちを抱えている。だから、私は今も夢を追いかけ続けて生きている。

 

――過去にこんな文章を綴っている。

そしてこの後、3月の卒業間近まで、就職活動を続けたのだった。絶望と不安の中、行きたい業界に入りたい、入るんだという微かな希望と熱い想いだけが、ただただ私を突き動かしたのだ。

それから6ヶ月後、晴れてテレビ情報誌の記者になることができた。その当時のうれしさといったら、計り知れない。

この経験を通じて、ひとつ確信できたことがある。夢はきっと叶う、ということだ。

自分にとって“大事にしたいもの”

その後もたくさんの夢を現実にしていくうちに、あきらめなければ夢は叶えられるという想いはますます強くなっていった。

しかし、最近の自分はどうだろうか。

仕事が忙しいことを理由に、大事にしていた“夢”を忘れたフリをしている。

 

今では現職で働きながら、音楽ライターとしても活動していきたいと思っているものの、私の夢は決して儚く脆いものではないはずだ。

だからこそ、例え忙しくても、心の片隅に置いておきたい。

どんな時も離さずに守り続けたい、自分にとって“大事にしたいもの”を。

大事にしたいもの持って大人になることを。

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PHOTO:KANA-BOONのとぅるとぅるかむとぅるーTOUR 2015 ~夢のアリーナ編~ at 日本武道館 DVDより