【天晴れ!原宿「エンドレスサマー」】どこまでも広がる、天晴れの“夏”
最近、やたらと暑い日が続いている。ギラギラと照りつける太陽、エアコンが手放せない日々――。夏はもう、すぐそこの曲がり角までやってきている感覚だ。
何気ない日常を過ごしているとつい忘れてしまいがちなのだが、今年はいつもとはひと味違う夏がやってくる。新型コロナウイルスの影響で、毎年夏に開催されている多くのフェスが中止となった。その他、花火大会や海水浴場の開設も、相次いで中止が発表される事態となっている。
こんなときこそ、アイドルの楽曲を聴いてほしい。世の中を明るく照らしてくれるような不思議な力が、アイドルにはあると思うのだ。
そこで今回は、天晴れ!原宿の「エンドレスサマー」について自由に書いていきたいと思う。この曲をきっかけに、“忘れていた夏”を取り戻すのもいかがだろうか。
“Yunomi楽曲”の魅力
夏にぴったりな、天晴れ!原宿の「エンドレスサマー」。ライブでは、メンバーの振り付けに合わせてタオルを振る竹の子(※ファンの呼称)が続出し、毎回凄まじい盛り上がりを見せている。そんな同曲の魅力は、メンバーが魅せるパフォーマンスだけでなく、Yunomiさんが作詞・作曲を手掛けていることにもあると思う。
トロピカルなEDMサウンドに仕立てられた楽曲ながら、部分部分に和の要素も感じられる「エンドレスサマー」は、和テイストのEDMサウンドを生み出すのが抜群に上手いように感じているYunomiさんの特長を存分に発揮している曲のように思うのだ。
序盤で聴こえる風鈴のような音は、どことなく日本の夏を感じさせるだろう。そこから一気にポップなサマーチューンへと持ち込んでいくものの、“洋”の中に溶け込む“和”の音色にも注目してほしい。ところどころに祭囃子を彷彿とさせる篠笛のような音色や、蝉の鳴き声のようなサウンドなどの和の要素が散りばめられているのだ。
隅々までこだわり抜かれた音や、“和”と“洋”が織りなす絶妙なハーモニーは、楽曲の質にこだわる“楽曲派”アイドルファンも思わず唸るに違いない。そして、これこそがYunomiさんが持つ武器のうちのひとつだと思っている。
「エンドレスサマー」個人的解釈
“Yunomi楽曲”の魅力は、彼が作るメロディだけにとどまらない。彼が手掛ける歌詞にもあると思うのだ。例えば「エンドレスサマー」は「39度の熱に浮かされた都会は風邪」といったフレーズから始まるのだが、都会を擬人化させるという発想が斬新だと思っている。
そんな「エンドレスサマー」では、“僕”が夏に奔走する姿が描かれている。この“僕”の描かれ方にも惹かれるものがあったのだ。そこで、筆者なりの解釈も交えながら、同曲を掘り下げていきたい。
39度の熱に浮かされた都会は風邪
缶ジュースを片手に僕はまだ夢の中
ビルの隙間に懐かしい蜃気楼
寂しそうに手招きして
未だ繰り返す夏は知っているよ
遠くなった君の声――
この日は真夏日なのだろう。そんな中、過去の想い出を振り返っている“僕”。「僕はまだ夢の中」「懐かしい蜃気楼」「寂しそうに手招きして 未だ繰り返す夏は知っているよ」といった歌詞からは、忘れられない想い出に浸っている“僕”の姿が浮かんだ。
その記憶に浸っていたいと思うのは、そのときの自分が輝いていたからなのではないだろうか。過去の“僕”は、もしかしたらなりたい自分や叶えたい夢など、何か夢中になれることに向かって奔走していたのかもしれない。いずれにせよ、きっと何かに対して本気で熱くなっていたからこそ、過去の自分が輝いて見えると思うのだ。
しかし、そんな“君の声”が遠くなってしまっている。“君”は、ここでは過去の“僕”自身のことを指すと思うのだが、悲しいかな、“僕”はそのときの自分を少しずつ忘れていってしまっているのではないだろうか。どこか諦めてしまっているところもあるのかもしれない。
いつか大きくなってこの色を忘れても
タイムマシンの鍵はいつも君のポッケの中
無限大 青い空 見上げては手が届いた
炎天下の子は忘れていた僕らだった
そんな今の“僕”に向かって、自分の本心が語りかけているように感じた。“タイムマシンの鍵はいつも君のポッケの中”にある。過去の“僕”が大切にしていた、情熱やハートを思い出してほしい。そんな想いが込められているように思った。
そして、その願いはきっと届いたのだろう。ようやく“僕”は、忘れていた自分自身の心に気づいたように思う。
ビルの隙間に君を探しているよ
いつの間にか見失った
未だ繰り返す夏は知っているよ
遠くなった君の歌
伸ばした手のひら まだ君に届くなら
永遠と思ってた夏の日に飛び込むんだ
過去の自分が持っていた情熱やハートを取り戻した今、再び“いつの間にか見失った”忘れられないものを探しに行く様子が浮かんだ。それが何であれ、輝かしかった頃の自分の想い出が未だに繰り返されるからには、“僕”にとってかなり大切なもののように感じる。
いつか大きくなってこの色を忘れても
タイムマシンの鍵はいつも君のポッケの中
無限大 青い空
炎天下の子は忘れていた僕らだった
伸ばした手のひら まだ君に届くなら
永遠と思ってた夏の日に飛び込むんだ
そして、大事なことをもう一度繰り返して、このように終わるのだ。
それにしても、歌詞中で描かれている“夏”は、天晴れにとって何を指すのだろうか。
筆者にとってそれは、天晴れがアイドル界のトップを狙いに行きたいという想いを指しているのではないかと思っている。また、独自のKAWAIIカルチャーを創造し、世界に発信していくというコンセプトをもとに結成された天晴れの“ムーブメント”を、より世の中に広げていきたいという想いもあるのではないだろうか。
デビュー4周年記念日となる7月5日には、第二章の幕開けとなる生配信ライブが行われる天晴れ。充電期間を経て、新体制になってから初お披露目となるこの日のライブで、より一層パワーアップした天晴れの姿を見てみたい。