ミュージック バンク

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感性に訴えてきた楽曲を、ちゃんさきセレクションでお送りする音楽ブログ。独断と偏見で綴っています。

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ヨルシカ、秋山黄色、サカナクション…“恋うた”5曲で恋愛ファンタジーを描いてみた

いよいよだ。

梅雨は明け、もうすぐ本格的な夏がやってくる。

「そろそろ素敵な恋、したくない?」

私の中のブルゾンちえみがそう問いかける。そんな恋の季節の到来だ。

 

そこで今回は、恋愛ソングを紹介していきたいと思う。

以前、テレビ朝日系の音楽バラエティ「関ジャム 完全燃SHOW」で、back numberの曲を恋愛の4つの局面に分類して紹介する特集を行っていたが、それをオマージュし、好きなアーティストの楽曲を5つのシーンに分けて、恋愛の一連のサイクルを描いてみることにした。

紹介する曲は5つ。共通点は飲みものが登場するところにある。

飲みものを片手に、曲で紡ぐ恋愛ファンタジーを愉しんでいってほしい。

恋の始まり

恋の始まり。それは、いつだって甘酸っぱさで溢れているものだと思う。 

三月のパンタシアが描く「ピンクレモネード」は、そんな乙女心をまっすぐ表現した1曲だ。

ピンクレモネード

ピンクレモネード

  • provided courtesy of iTunes

キラキラとしたピアノの音色が、胸の高鳴りやときめき、未来への期待を彷彿とさせる中、恋に葛藤する女の子の姿をボーカリスト・みあが可愛らしい歌声で歌い上げていく。

好きな人が何を考えているのか気になったり、自分のことをどう思っているのかそわそわしたり、自分の好きという想いに気づいてほしくてやきもきしたりと、恋する乙女の脳内は忙しい。気づいたら四六時中、好きな人のことを考えていた、なんていう人もいるだろう。

そして、考えているばかりで前に進めていない。一歩踏み出したくとも、不思議と勇気が出ないのだ。そんなもどかしさも表現している。

女の子の“片想いあるある”が凝縮されたような「ピンクレモネード」。やさしい甘さと爽やかな酸味が合わさることで生まれる絶妙なハーモニーは、きっと相手に届くのではないだろうか。

恋愛真っ盛り

恋愛において、一番幸せを感じることのできる期間が付き合い始めだと思っている。

KANA-BOONの「なんでもねだり」は、晴れて交際した男女がデートを楽しむ様子を描いた楽曲だ。

なんでもねだり

なんでもねだり

  • provided courtesy of iTunes

男性が彼女の素肌を「まるで今朝のミルクみたい」と例えている表現からは、彼女に見惚れていることが分かるだろう。

また、あれこれ欲しいものを言ったり、突然食べたいもののリクエストが変わったりと、何かと忙しい彼女のわがままにも喜んで付き合ってあげている様子から、彼女のことを心底好きなことが伝わってくる。

恋人の存在が気分を明るくし、日常生活に華を咲かせてくれるような付き合い始めの恋は、アイスクリームのように甘く、ミルクのようにほっこりするだろう。

しかし、どちらか一方が自己中になってしまったり、相手に対する配慮が欠けてしまったりすると、その恋はそう長続きしないのではないだろうか。

恋の停滞

ヨルシカの「詩書きとコーヒー」は、冷めてしまった愛を時にコーヒーに例えながら、詩を書いていく主人公の姿が浮かんだ。そんな恋の停滞を表現しているような曲に聴こえる。

詩書きとコーヒー

詩書きとコーヒー

  • ヨルシカ
  • ロック
  • ¥204
  • provided courtesy of iTunes

「幸せの色は準透明 なら見えない方が良かった」というフレーズは、“幸せが自分から離れていくのならば、最初から要らなかった”と言っているように聴こえた。

「準透明」だから、目には見えないのだろう。それでも幸せを感じられるものといったら、“愛”がそのひとつなのではないだろうか。恋人は、きっと主人公への気持ちが薄れてしまったのだろう。

一方、主人公自身も「冷めた目で愛を語るようになっていた」ようだ。そして、曲の後半にかけて、その想いは加速していく。

「想い出になる 君が邪魔になっていく」という気持ちは、やがて「想い出になれ 君よ詩に成って往け」といった強い拒絶へと変貌を遂げるのだ。

もうそろそろ、この愛は終わりを告げようとしている。

恋の終わり

コーヒーや紅茶などに入っているカフェインが曲名の、秋山黄色の「Caffeine」。カフェイン中毒になってしまった人の歌詞とも捉えられるが、恋人と別れてしまい、その苦しみを引きずっている人の歌にも聴こえるのだ。

Caffeine

Caffeine

  • 秋山黄色
  • ロック
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

吐き気や不眠など、カフェイン過剰摂取による副作用が描かれている「Caffeine」。

歌詞中の“レモネード”は、この副作用をやんわりと包み込んだように表現していると思うのだが、かつての恋人との甘い想い出を忘れようとしているようにも聴こえる。

「切ない匂い 覚え過ぎたんだ」「排水口 なだれ込んだ心の中身達」といった表現からは、かつての恋人の匂いや恋人との楽しかった想い出など、脳裏に焼きついた記憶を必死に忘却しようとする主人公の姿が浮かんだ。

また「‪最後のお願いを聞いておくれ 僕の事を十秒間だけでいいから教えてよ」といった心の叫びや「最期のお願いを聞いておくれ僕の事を 切り開いていいから皆同じ物を流して」といった苦悩からは、恋人を失ったつらさが伝わってくる表現とも捉えることができるだろう。

“ピンクレモネード”や“ミルク”、“コーヒー”など、これまで曲を通して描いてきた恋の始まりから停滞までのいろんな“味(記憶)”を思い出しては、胸を痛めている。そんな主人公の姿が浮かんだ恋の終わり。それは、“レモネード”のように酸っぱいのではないだろうか。

新たな始まり

サカナクションの「さよならはエモーション」は、過去のことを思い出しながらも、なんとか前に進もうとする姿勢が描かれている1曲だ。

さよならはエモーション

さよならはエモーション

  • provided courtesy of iTunes

歌詞中に「忘れたい自分に缶コーヒーを買った」という表現が登場するのだが、これは缶コーヒーという苦い飲みもので、苦い想い出をかき消そうとしているのではないかと感じた。

それほどまでに忘れたい記憶は、君との過去の中にあるのだろう。しかし、そんな中でも主人公は前を向こうとしている。

最後のほうでは「さよなら 僕は夜を乗りこなす ずっと涙こらえ こらえ」と、過去と決別し、前に進む姿が描かれているのだ。

 

「AH ミル ヨルヲヌケ アスヲシル ヒカリヲヒカリヲヌケ」。

夜も光も抜いた先には、どんな景色が広がっているのだろう。