ミュージック バンク

ミュージック バンク

感性に訴えてきた楽曲を、ちゃんさきセレクションでお送りする音楽ブログ。独断と偏見で綴っています。

MENU

【年間ベストソング2020】この1年を統括する、ちゃんさき的ストーリー(うち10曲、コロナ禍と私ver.)

2020年12月。

音楽を愛する人たちが、年間ベストを次々と発表していく時期の突入だ。

密かに“マイベスト”を作ることに憧れを抱いていた私は、今年こそはと気合いを入れて、書いてみることにした。

さまざまな曲を聴く中で、特に気に入った20曲をセレクト。10曲ずつに分け、それぞれをストーリー形式で紹介する“らしさ”全開の“マイベスト”を作ってみた。

また、各楽曲のストーリーの下部には、選出理由も記載している。ストーリーだけ先に読んでから、各曲の選出理由を見ていくなど、あなたなりの読み方で愉しんでいってもらえたらうれしい。

前回は、恋愛をテーマに曲で紡いだストーリーを紹介したが、今回のものは、コロナ禍と私が主題。一風変わった、年間ベストの後半戦。それでは、行ってみよう。

 

勝つまで続く、終わりなき戦い

“自分らしさ”が持ち味の“メタルサイファー(BABYMETALなりのフリースタイルラップ)”を持ってバトルで勝ち抜いていく姿を描いたような、BABYMETALの「BxMxC」は、まるで混沌とした時代の中、“らしさ”を持って戦っていく必要性を訴えているようだ。

BxMxC

BxMxC

  • BABYMETAL
  • メタル
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

「ライム 壊すスタイル カオス巻き起こすぜ Mosh」「ライフ 燃やすタイム 交わす私たちの Mosh」といった歌詞からは、抗争が繰り広げられている中、負けじと“私たち”も戦っていく様子が浮かぶ。

さらに「流行り廃り気取り 身振り手振りかまし」「誇り 証し 探し バトり 叫び」「言葉巧み飾り 上がり下がり吹かし」などのフレーズから、バトルが白熱していることが伝わってくるだろう。

まるで現在のネット社会の“闇”を浮き彫りにし、表現しているようだ。

選出理由:BABYMETAL「BxMxC」

重厚なサウンドに乗せて、激しいダンスを披露していくMOAMETAL。挑発的なリリックを、ヒップホップのような歌いまわしとともに歌い上げていくSU-METAL。そんな2人が“メタルサイファー”に挑戦したこの曲は、これまで確立してきたスタイルを壊し、これからはメタルに限らず幅広いジャンルに挑戦していくといった力強い意思を表現したように感じた。また、今年結成10周年を迎えたBABYMETALの10年を象徴する10曲を、ファンの投票で決定する「10 LEGEND SONGS TOURNAMENT」を実施していた彼女たちは、同曲のMVの世界観をそのまま反映しているようだった。

そんな同曲は、日本では既に昨年から配信されているが、全世界での配信がスタートしたのは今年10月からである。正直、取り扱いが難しい同曲を【年間ベスト2020】として入れるか否か最後まで悩んだのだが、今年1月に開催された幕張メッセ公演で初披露されたこと、シングルカットする形で「BxMxC」のアナログ盤が発売されたこと、そして、力強い意志が感じられたことと、MVの世界観をそのまま反映したようなイベントを実施していたことなどの上記2つの理由も踏まえると、やはり「BxMxC」はBABYMETALにおいて大切な1曲のように感じたため、この記事では特別に取り上げることにした。

 

社会の“闇”に牙をむく

世の中に対する不満や怒り、皮肉などを堂々と突き付けてくる、感覚ピエロの「感染源」。

感染源

感染源

  • 感覚ピエロ
  • ロック
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

コロナ禍で、新型コロナウイルスや政治、他人のせいにする人が目立つようになった。そんな世の中に対して「全員容疑者です」と切り込んでいく“僕”。

“僕”は一人ひとりが持つ、人の醜さや愚かさ、無力さに注目しながら、さらに牙を向けていく。疑心暗鬼に陥っている人たちに対しては、「1番犯されてしまったのはその脳内なんじゃないですか」「助け合い 思いやり 自己犠牲 それがバカらしく見えますか」「最も蔓延してしまったのは その醜い考えそのものです」と問いただしていくのだ。

そして、そこに加えて「愛し合う気持ちを無くしてはいけないや」「All You Need is Love」「愛に優るものなんかない」と、“僕”は何度も“愛”の必要性を訴えていく。

“誰も一人でなんか生きられない”のだから、愛し合う気持ちは無くしてはならないのだ。

選出理由:感覚ピエロ「感染源」

“感エロ”の愛称でも親しまれている、感覚ピエロ。その愛称からも分かるように、曲を通して、時にエロスを全面に押し出しながら、人々を楽しませる遊び心を持っているところが彼らの魅力のひとつである。しかし、その“道化師”という化粧を落としたとき、彼らの持つ、独自の“感覚”が存分に発揮されていることが分かる。エッジの効いたメッセージ性のある歌詞を、時に真剣に、時にユーモアを交えながら歌い上げるという、彼らが持つ、もうひとつの“顔”があらわになるのだ。そんな彼らの“すっぴん”に良い意味で驚かされたのは、今回が初めてではない。しかし、世の中に対する皮肉が炸裂している「感染源」は、コロナ禍における今だからこそ、より一層、響くものがあるのだと思っている。

また、シングル『毒の根の音』に収録されているジャケ写に描かれているのは、力強い眼差しで何かを訴えかけるように耳を塞ぐ人の姿だ。「感染源」を聴いたあとに改めてジャケ写を眺めると、聞こえてくる愛のない言葉をシャットアウトし、自分の心の中に眠る“愛”を信じてほしいと何度も主張している“僕”の姿が重なった。“毒の根の音”とは、愛のない、人の醜さや愚かさから出た言葉を指しているのだろう。感覚ピエロが訴えかける愛の必要性に深く共感したとともに、少しでも世の中が平和になってほしいという願いも込めて、この曲を【年間ベストソング2020】に選出したい。 

 

ノイズの中、響かせるハーモニー

現在のネット社会を見ながら感じた疑問を歌詞にしたような、欅坂46(現、櫻坂46)の「誰がその鐘を鳴らすのか?」。

誰がその鐘を鳴らすのか?

誰がその鐘を鳴らすのか?

  • provided courtesy of iTunes

「「耳を澄ますと聴こえて来る 色々な声や物音 人は誰もその喧騒に 大事なものを聴き逃している」」といった呟きから始まるこの曲は、まるで新型コロナウイルスが世界各地で猛威を振るうようになってから浮き彫りにされた“不謹慎狩り”や“同調圧力”、さらには自分とは異なる意見を必要以上に叩く“批判”や“否定”、“非難”などの問題点を指摘しているようだ。

そこで、“冷静になろう”という合図を出すためにも、“世界中のどこにいても聴こえる巨大な鐘”を鳴らしたいと思う“僕”。しかし、世の中には神様のような絶対的な存在がいるはずもなく、“鐘を鳴らす”といった重たい責任を自分ひとりだけで持つことも難しい話である。

そして「僕たちの鐘はいつ鳴るんだろう?」と鐘を鳴らす人を待っている“僕”だったが、「そばの誰が誰であっても鳴らせばいいんだ 信じるものが たとえ違ってても そう平等に…」と思いつき、「Wo oh oh oh oh oh oh…」と、“言葉ではなく誰でもわかるように心に響かせる”ハーモニーをみんなで何度だって奏でるのだ。

“大事なものを聴き逃している”人に向けて、何度も心を込めて歌う“僕たち”だが、そこには単に“自己主張”するのではなく、“愛”を持って“主張”する、新しい“僕たち”の姿が描かれているように感じた。

選出理由:欅坂46「誰がその鐘を鳴らすのか?」

これまで楽曲を通して“自己主張”してきた欅坂46が、改名前最後となったこの曲をもって、突然、協調性について説き始めたことに衝撃を受けた。相手に噛みついていくような鋭い言葉や、パンチの効いた言い回しで“自己主張”してきた彼女たちが「際限のない自己主張は ただのノイズでしかない」と一蹴し、過去の自分たちを全否定している様子は正直、寂しい。しかし、愛を持って主張していくような新たな姿勢からは、彼女たちの成長も感じ取れた。“欅坂46”としては最後の「誰がその鐘を鳴らすのか?」。驚きはもちろん、寂しさやワクワクなどの想いもこみ上げてきた同曲は、深い印象を残したように感じたため、年間ベストにピックアップ。

 

心の中を照らす、理想と希望

理想や希望を歌った、RADWIMPSの「ココロノナカ (Complete ver.)」は、コロナ禍にいる一人ひとりに“エール”を送ってくれているようだ。

ココロノナカ

ココロノナカ

  • provided courtesy of iTunes

「現実とは 時にどんな物語よりも残酷で 冷たくて 容赦なく僕らを踏みつけるけど」「でも 現実とは 時にどんな物語よりも美しく あたたかい そのことを僕らは知っているから」という歌を歌っていく“僕”。絶望を味わった人たちの心を理解しつつ、一人ひとりの心にあたたかい明かりを灯してくれているようだ。

そんな“僕”には「帰りたい明日がある」「また逢いたいあなたがいる」「叶えたい明日がある」「まだなりたい自分がいる」「戻りたい明日がある」から、みんなと“歴史の教科書のどのページよりも眩しいストーリー”を歩みたいのだ。

そして、“僕”にはハッピーエンドを迎える準備ができているのだ。理想や希望をたくさん持った“僕”がこの歌で与えるパワーといったら、計り知れないものがあるだろう。

選出理由:RADWIMPS「ココロノナカ (Complete ver.)」

理想や希望をたくさん持った“僕”が歌う歌に感動した。曲の後半になるにつれて次第に大きくなる合唱からは、ハッピーエンドを望む“僕”に共感した人たちが“歴史の教科書のどのページよりも眩しいストーリー”を描くために、“僕”と一緒に歩いていく姿が浮かぶ。野田洋次郎Twitterでこの曲の動画を添付するとともに「よかったら、みんなも歌ってみて」とコメントしたことを皮切りに、この曲はたくさんの人によって歌われている。それがさらにこの曲を聴いて想像したイメージと重なり、感動的な光景を作り出しているように感じるのだ。「ハッピーエンドよ そこで待っていろ」。私もそう願う人たちのうちのひとりだ。早くコロナが終息してほしいという願いも込めて、「ココロノナカ (Complete ver.)」を年間ベストにセレクトした。

 

夢と愛で進め、未来へ

“掴みたいもの”のために突き進む“僕”の姿を描いた、LiSAの「紅蓮華」。アニメ『鬼滅の刃』のオープニングテーマとして起用された同曲は、大切な人たちとの幸せを掴むため、さまざまな鬼としのぎを削っていく主人公・竈門炭治郎が連想されるような歌となっている。

同時に、この曲に登場する“僕”は、どこか幸せな未来を掴むために“見えない敵”と戦っている、コロナ禍における私たちと重ね合わせることもできるだろう。

紅蓮華

紅蓮華

  • LiSA
  • J-Pop
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

掴みたいもののためになら強くなれることを知った“僕”。それに導かれるように、“僕”が進んでいく姿が浮かぶ。そんな“僕”は、世間や他人のせいにしたとしても、“変わっていけるのは自分自身だけ”ということを知っている。だからこそ、“消せない夢”に向かって、進んでいくのだ。

彼を明るく照らすのは、“掴みたいもの”だけでなく、“紅蓮華”の花言葉である“愛情”もあると思っている。そうしたものを力へと変えながら、紅に燃ゆる心とともに、“本気の僕だけに現れるトゲだらけの道”を乗り越えていく姿が浮かんだ。

何度でも立ち上がる“僕”の姿は、どこかコロナ禍と戦う私たちと重なるものがあるように感じた。

選出理由:LiSA「紅蓮華」

世間を賑わせている『鬼滅の刃』。同アニメのオープニングテーマとして起用されたこの曲は、LiSAの“鬼滅愛”が感じられる。シングルやアルバムに収録されている同曲の「ありがとう 悲しみよ」という歌詞が、アニメOPでは「何度でも立ち上がれ」と変更されているのだ。この“工夫”がされていることで、より一層、主人公・炭治郎の気持ちに寄り添った歌となっていることが分かるだろう。昨年リリースされた曲でありながら、映画「劇場版『鬼滅の刃』無限列車編」の大ヒット、および今年リリースされたアルバムに収録されていることで、さらに注目を浴びることとなった、LiSAの「紅蓮華」。その愛情込められた歌詞を高く評価した。

 

今こそ起こす、“思いやりのぶつけ合い”

メンバーに続いて観客が答える形で大合唱を繰り広げる様子が想像できる、オメでたい頭でなによりの「頑張っていきまっしょい」は、コロナ禍を乗り越えるためにお互いを励まし合うような姿が描かれている。

コロナ禍が蔓延してからバラバラになってしまった一人ひとりの気持ちを描きつつ、「頑張っていきまっしょい(わっしょい)」と互いに励まし合う人たちの姿を描写。そして、そこに描かれているのは、闇雲に“頑張れ”と声を掛け合う人たちの姿ではない。“お互いに上手くいくために頑張ろう”という、思いやりの精神が感じられる掛け声が響き渡っている様子なのだ。

「1万の心臓 揺らす」「2万の瞳 濡らす」「10万の指 繋ぐ」リズムやメロディ、言葉を探し続けている主人公。そんな彼が響かせる「頑張っていきまっしょい(わっしょい)」の歌声は、今日もどこかの誰かの心を揺らし、瞼を濡らし、手を繋ぐきっかけを与えてくれるだろう。

選出理由:オメでたい頭でなにより「頑張っていきまっしょい」

ボーカル・赤飯に続き、メンバーやオメっ子(ファンの呼称)たちが答える形で大合唱を繰り広げる姿が想像できるナンバーだ。そんな彼らが掲げるサインと言えば、“ダブルピース”である。この曲が披露された後は、きっとたくさんのダブルピースがフロア一面に咲き誇っているに違いない。争いごとが絶えない世の中だが、敵対し合っていた人たちも、やがては笑顔で仲良く“ピース”を掲げる日が来ると思っている。オメでたい頭でなによりがライブで普段からよく「思いやりのぶつけ合い」という言葉を口にしているように、彼らはそんな“平和”な世の中を望んでいるのだろう。そして、それは、この曲で「付ける薬ないくらい バカ笑い してた日 思い出して笑いたい」「くすりとこぼした笑顔なら 喜んで伝染るんだい」と描かれていることからも感じられるのだ。お互いを励まし合う、笑顔の“伝承歌”になってほしい。そんな願いを込めて「頑張っていきまっしょい」をピックアップ。来るZeppワンマンの景色も、今から楽しみだ。

 

“新たな1ページ”に向かって、闘志を燃やせ

“今”を生きる人たちに向けて歌われたような、Anlyの「We'll Never Die」は、応援歌となっている。

We'll Never Die

We'll Never Die

  • Anly
  • J-Pop
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

「私たちは決して負けない」のリフレインが次第に強くなるところから始まるこの曲は、仲間を引き連れながら“明日”へと向かう“私たち”の姿が浮かぶ。

そんな彼女たちが口ずさんでいるのは「頑張ったと言えるまで、私たちは決して負けない」という闘志である。また、仲間たちに対して「ねえ、君。自分自身を信じて。大丈夫だから」「私たちが新たな歴史の1ページを刻むから、気にしないで」や「ねえ、あなた。自分自身を信じて。あなたは心やさしい、人を思い遣る心を持ってる」「あなたが歴史に新たな1ページを刻むのよ。私はありのままのあなたが好き」と声を掛け合いながら進んでいく様子からは、結束力の強さが垣間見える。

さらに「抵抗しよう、敢えて大志を抱いていこう」「私たちは輝き続けるの」「誰も私たちに文句を言わせないわ」という歌からは、新型コロナウイルスに対して、宣戦布告しているようにも見えるだろう。そうして、彼女たちは再び「頑張ったと言えるまで、私たちは決して負けない」という大合唱を繰り広げるのだ。

「誰かを照らす光になりたい」。そう願う“私”は、やがて“私たち”の歌になった。小さいけれど、大きい。人の心を動かす原動力にもなり得る歌には、そんな不思議な力が宿っているように感じる。

※上記の曲に関しては、英語で書かれている箇所は日本語へ和訳(意訳)しています。正式な歌詞はほとんど英詞なので、知りたい方はお手数ですが、歌詞サイト等でご確認ください。

選出理由:Anly「We'll Never Die」

伸びやかな歌声を時にゆったり、時に力強く響かせる、シンガーソングライター・Anly。そんな彼女の歌声が一皮むけたように感じたのは、世の中の“あたりまえ”に対して、疑問の声を上げる「MANUAL」だ。茶色い地毛を持つ彼女が、黒髪が“正しい”とされている染髪禁止の校則に向かって吠える姿や、沖縄出身である彼女の言葉の訛りも「ホントに素敵よ 生まれつきな自分が好き」と肯定する様子は凛とした美しさがあった。心で感じたまま、思ったままに表現しているからこそ、彼女の歌声は多くの人に響くものがあるように感じた。

今回取り上げている「We'll Never Die」は、カントリー・ミュージックに乗せて歌われる応援歌だ。「私たちは決して負けない」と何度も歌う姿からは、Anlyの凛々しさが感じられる。そして「あなたが歴史に新たな1ページを刻むのよ。私はありのままのあなたが好き」という歌からもまた、一人ひとりの“らしさ”を肯定してくれていることが分かる。刺々しい言葉は一切使わずに、周りを照らす光となっている「We'll Never Die」。Anlyの持つ魅力を最大限に引き出しながら、新境地を切り開いたという点で、高く評価したい。

 

“金色の明日”への挑戦

湘南乃風の「GOLD」は、コロナ禍で戦う人たちの応援歌だ。

GOLD

GOLD

  • provided courtesy of iTunes

「でっかい夢抱いて 走り抜けてきた成果 ここまで来たんだ」と励ましつつ「夢に泣いて 諦めるなんて冗談じゃねえ 舐めんな」と“俺”なりの“愛”を持って相手をたしなめながら、“金色の明日”へ向かって、“今”と戦う様子を描いている。

“俺”が相手を叱る理由は、挑戦し続けてきた過去を知っているからだ。だからこそ、“俺”は「胸張れ誰よりも」「挑み続けた日々は 決して裏切らない」「むせるような努力越えれば 孤独な金色の勝者」「初心忘るべからず だろ 何事も途中で不安なり」「がむしゃらで 良いんだ 良いんだ」「やれば出来んだ」などというエールを次々と送るのである。

「世界をひっくり返せ お前がヒーロー」と一人ひとりに向けて激励していく“俺”。“金色の明日”を信じているからこそ、戦えるのだろう。いつしか“強靭な武器”へと変化した、夢や愛、信念などを持っているからこそ、戦うことができるのだと感じた。

選出理由:湘南乃風「GOLD」

黄金魂」や「STAY GOLD」など、これまでも“金色”について描いてきた湘南乃風。そんな彼らは今回、アルバム『湘南乃風 ~四方戦風~』で、色そのものが曲名となった「GOLD」という楽曲を堂々と突き付けてきた。レゲエとトロピカルハウスの“いいとこどり”のような、アッパーなサマーチューンに仕立て上げられた同曲。この“ハイブリッドミュージック”には、当初から持ち続けている“色”と、「はなび」や「一番歌」など、“らしさ”にエレクトロミュージックを掛け合わせる“新たな試み”に挑戦し始めた、湘南乃風のこれまでの歩みが感じられる。今までの“歴史”があるからこそ、コロナ禍に巻き込まれても、そこで諦めずに“金色の明日”に向かって戦い続ける。そんな“チャレンジャー”湘南乃風の姿が浮かび上がった1曲だ。そんな彼らのストーリーを語っているような「GOLD」には、代表曲のひとつである「黄金魂」を越えてくるものがあるように感じたため、年間ベストにセレクトした。

 

“好きに選ぶ”生き様で、人生を楽しむ

コロナ禍とはいえ、常識やルールを破らない範囲で、思いっきり人生を楽しんでいる人もいるだろう。

例えば、MAMAMOOの「HIP -Japanese ver.-」は、人の視線を気にせず、自分らしく生きる姿を描いている。それは、ダンサーや大統領、そして母親までさまざまな職業を演じるメンバーの姿が描かれているMVからも感じられるだろう。

HIP -Japanese ver.-

HIP -Japanese ver.-

  • provided courtesy of iTunes

そんな同曲は「All I wanna be is trendy 好きに選ぶ」「顔 肩 足まで hip」という歌詞から始まる。全身キメている様子は、“私はただお洒落でいたいの”という想いが強調されているようだ。

さらに「I love you どう言われたってね」「Respect you 何をしたってね」や「問題視 My fashion 騒ぎすぎただの Action」という表現からは、他の人からの批判にはまるで興味のない、自分の意見をしっかり持った“私”の姿が浮かぶ。

炎上さえも払いのけてしまう“強靭なメンタル”を持った“私”は、まさに“HIP”そのものだ。人の視線を気にせず、常に“らしさ”を大切にしているその生き方は、格好いい。

選出理由:MAMAMOO「HIP -Japanese ver.-」

日本には昔から“空気を読む”といった独自の文化が定着しているが、コロナ禍に入り、和を乱すことを極端に嫌う人が増えたように感じている。そうした人からの嫌がらせ行為や炎上などを避けるために、ネット社会でも、実社会でも、周りの目を気にする人が多くなったように思うのだ。そんな今だからこそ、“自分らしく生きていい”という強いメッセージ性が感じられる同曲をピックアップしたい。何を“HIP(格好いい)”と思うのかは一人ひとり異なると思うが、それぞれが思う“らしさ”を、今、出してもよいのではないだろうか。

 

“ハイライト”を引けるのは、自分自身

人生の“見せ場”を作り続ける、という強い意志が感じられる、SUPER BEAVERの「ハイライト」。

ハイライト

ハイライト

  • provided courtesy of iTunes

何度も「必死でありたい」と歌う“僕”。必死だからこそ、歓びなどの“ポジティブな感情”、そして悔しさや哀しさ、怒りや虚しさなどの“負の感情”まで、さまざまな感情を深く味わえることを“僕”は知っているのだ。

そんな“僕”は過去を振り返れば、そこで経験した“痛み”もやがては愛しくなることを知っている。いつだって必死だからこそ、“負の感情”もバネにして、明日への原動力へと変えるのだろう。

幸せになるため、今日も必死で今日を生きる“僕”。幸せを掴んだとしても、そこで終わりたくないのだ。その先の景色を見たいという想いを持ち続けているからこそ、“僕”にとっては、いつだって今この瞬間が“ハイライト”なのだろう。

選出理由:SUPER BEAVER「ハイライト」

“必死でありたい”理由を述べていく同曲は、全ての物事や経験には“意味”があると、人生を肯定してくれているようなあたたかさを感じた。“ポジティブな感情”だけでなく、“負の感情”まで描きつつ、全てを受け止めてくれる「ハイライト」。これはSUPER BEAVERがバンド人生において、さまざまな苦悩を経験してきたからこそ、描ける物語がそこにあるのだと感じた。そして、“不可能”だと言われていたメジャー再契約を、“可能”へと変えたSUPER BEAVERがこの曲を歌うからこそ、説得力が増すように感じるのだ。明るい希望を灯してくれた「ハイライト」は、暗い世の中も照らしてくれるだろう。

 

終わりに

コロナ禍と私をテーマに、10曲で紡いだストーリー。

きっと、共感してもらえる人も多かったのではないだろうかと思っている。

最後に目次を記しておくので、気になった曲はぜひ聴いてみてほしい。

あなたにとってこの1年は、どんな物語になっただろうか。

f:id:k_cat51alom:20201212004538j:image

関連記事はこちら

musicbank.hatenablog.com