【Devil ANTHEM.「SS」】MVから見た、デビアンが“攻めの姿勢”を崩さない理由
3月3日にミニアルバム『SS』をリリースした、Devil ANTHEM.(通称:デビアン)。
その1曲目に収録されている表題曲「SS」では、どこか哀愁や切なさを漂わせるサウンドを挟みながら、疾走感のあるダンスミュージックに仕立てられた、抑揚のある楽曲となっている。
また、この曲で魅せるメンバーのダンスは、これまでさまざまな楽曲で魅せてきたパフォーマンスよりも速く、複雑なムーブが増えており、難易度の高さが感じられるだろう。音を乗りこなし、華麗なダンスで魅せるメンバーに圧倒された人も少なくないのではないだろうか。
そして、今回の歌詞から伝わってきたのも、止まらない姿勢だった。思えば、楽曲「VS」で戦いの姿勢を前面に押し出してからというもの、デビアンはずっと攻め続けている。彼女たちはファンと“また笑い合える瞬間”を信じて、戦っているように思うのだ。
そんなメンバーの想いは、「SS」のMVでも再現されているように感じた。
マスクを付けたメンバーが映し出されたり、“特効薬”が登場したりと、まるでコロナ禍の今を表現したようなシーンが描かれている同MV。
“特効薬”が登場するシーンでは「Deliver the potion to them.(彼らに特効薬を届けろ)」というミッションがメンバーに課される。そして、この指令をきっかけに、くるみちゃんが画面越しにいるファンに向かって、“特効薬”を投げつけるのである。
それは、コロナ禍で逢えなくなってしまったファンと、現場で“また笑い合える瞬間”を願っての咄嗟の行動とも捉えることができるだろう。または、MVを観ている人たち一人ひとりに彼女たちの“音楽”を届けることで、少しでも世の中に幸せを取り戻していきたいと願っての行動なのかもしれない。あるいは、その両方とも捉えることもできる。
そして、この“特効薬”をよく見てみると「Never take it more than 3 times a day.(1日3回以上の服用は絶対におやめください)」などといった注意事項の他、「Take care of yourself.(ご自愛ください)」といったファンへのメッセージとも受け取れる言葉も記載されており、かなり凝っていることが分かる。
また、MVを観ている中で、気になったところがある。「AVATAR SELECT」の画面が表示されるシーンだ。
それぞれのメンバーの「STATUS」部分を見てみると、「UP」「SS」「VS」という、ミニアルバム『SS』に収録された“英語2文字シリーズ”の楽曲の他、「MP」というステータスも加わっていることが分かる。
そして、「UP」「SS」「VS」の各ステータスがMAXレベルにまで到達しているメンバーはいるものの、「MP」だけは誰もたどり着いていない。
「MP」が満タンになっていない理由――。それはきっと、ファンからの“マジックパワー”が足りていないからではないだろうか。
コロナ禍で疎遠になってしまったファンからの“パワー”、コロナ禍で規制されている、まだいっぱいにはならないフロアからの“パワー”、デビアンの音楽を受け取ってくれる人たちからの“パワー”……。そうした“パワー”がまだまだ不十分に感じているのだと思う。
だからこそ、デビアンは止まらないのだろう。憂いを漂わせ、まだ望んでる夜明けは見えない世界から星空を見るため。雲の色はピンクな、虹色のフィルターかけたストーリーズを現実にするため。日々、最高を更新し続けることを目標にしている彼女たちは、諦め悪く、何度もコンティニューするのだと思った。