ミュージック バンク

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感性に訴えてきた楽曲を、ちゃんさきセレクションでお送りする音楽ブログ。独断と偏見で綴っています。

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Ambivalent about VaVaの「悲しいAkon」

VaVaの「悲しいAkon」が突き抜けている。

これまで“アンビバレント”といえば、欅坂46(現、櫻坂46)のそれが浮かんだが、私の脳内ディクショナリー・“アンビバレント”ページの中に、新たな曲が刻まれた。

それが、この曲。VaVaの「悲しいAkon」である。

悲しいAkon

悲しいAkon

  • 発売日: 2021/04/28
  • メディア: MP3 ダウンロード
 

今回はそんな「悲しいAkon」に感じた魅力を、独断と偏見で自由に語っていきたい。

タイトルから欅坂46(櫻坂46)も関連しているのかと期待してクリックしてしまった人がいたら、申し訳ない。好きではあるものの、残念ながらこの記事には他にどこにも登場しないので、それは謝らせてほしい。お詫びに、昨年末、個人的年間ベストソングにセレクトした「誰がその鐘を鳴らすのか?」のことも記載している記事を紹介しておきたい。気になった方は、こちらへどうぞ。

 

なんとなく最近のヒップホップが気になり、ランダムに曲を流していたところ、VaVaの「悲しいAkon」に心をくすぐられた。

恋人と別れてしまったあとに、たまたまAKONの曲をいろいろと聴いていた、というのが、この曲のざっくりとした内容である。“悲哀”がテーマでありながら、聴いていて耳が楽しいという、アンビバレントな感情を抱いたのは初めてだ。

これまで出逢ったことのある、いわゆる“失恋ソング”は、失恋した悲しさをそのまま“負の感情”のあふれ出るままに情緒たっぷりに表現したものか、“負の感情”を自分なりに断ち切ってみせ、明るくポジティブに昇華させたもののいずれかだった。

例えば、恋の百戦錬磨といっても過言ではない“ラブソングの女王”・西野カナは、その名を世に広く轟かせることとなった名曲「会いたくて 会いたくて」で、失恋した辛さを、誰もが知る“キラーフレーズ”「会いたくて 会いたくて 震える」と想いあふれるままに歌っていたり、“片想いソングの女王”・Miliyahこと加藤ミリヤは、「Love Forever」や「Aitai」で、恋の切なさや失恋の痛みを、高らかに歌い上げていることは有名だろう。

また、Taylor Swiftの「We Are Never Ever Getting Back Together」では、もう決して戻らないという力強い意志を明るく宣言、Kelly Clarksonの「Stronger (What Doesn't Kill You)」では、失恋から立ち上がった姿をパワフルに描いている。

“失恋ソング”といっても、そのアーティストの気分によって描き方も、ニュアンスも異なるが、「悲しいAkon」のように、失恋してしまって、たまたまAKONのいろんな曲を聴いていた、という“出来事”だけを粛々と描いている曲に出逢ったのは、初めてだ。

そして、ピコピコ電子音とともに流れるのは、VaVaの淡々としたラップである。「楽しい Akon」「寂しい Akon」「嬉しい Akon」「悲しい Akon」というフレーズが曲の大半を占め、“音”で視聴者を楽しませる曲として昇華させたこの曲に衝撃を受けたのだった。

「楽しい Akon」は「Play Hard」、「寂しい Akon」は「Lonely」や「Right Now (Na Na Na)」、「嬉しい Akon」は「Sexy Bitch」や「Beautiful」、「悲しい Akon」は「Locked Up」が浮かんだのだが、これも聴く人によって、思い浮かぶ曲が異なるのではないだろうか。

まるで“失恋ソング”の新境地を切り拓いたような、VaVaの「悲しいAkon」。ぜひ聴いてみてほしい。