ミュージック バンク

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感性に訴えてきた楽曲を、ちゃんさきセレクションでお送りする音楽ブログ。独断と偏見で綴っています。

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YUNGBLUDとBMTH・Oli「Happier」の“主人公”を“反面教師”とした――そこから考える“幸福への道標”

あなたは誰かを本気で好きになったことがあるだろうか。

あまりにも突然な問いに驚いてしまった人も少なからずいると思うが、本気で誰かを好きになった人になら、穏やかで温かい想いとは裏腹に芽生える恐怖心に悩まされてしまう気持ちも分かるのではないだろうか。

それは例えば、過去のトラウマが原因でまた傷つきたくないという不安だったり、本当の自分をさらけ出して避けられてしまうのが怖いという感情だったりと、人によってその要因もさまざまだ。

この記事を書いている筆者もまた、いろいろとあってなかなか自分から行動を起こすことに怖気づいてしまっているひとりである。もうすぐ三十路を迎えることもあって、だいぶ自分の言動が落ち着いた気もしているが、決してそうではないことは私の心が一番理解している。しかしながら、この想いは至って本気なのだ。そしてその感情を人は“恋”と呼ぶのだろう。

そんな自分が今回この記事で取り上げるのは、YUNGBLUDとBring Me The Horizonのフロントマン・Oliver Sykes(以下、Oli)がタッグを組んだ「Happier」という楽曲だ。恋に臆病になってしまっている人にこそ、この曲を聴いてみてほしい。

この曲には2人の主人公が登場する。1番ではYUNGBLUDが、2番ではOliがそれぞれ交互に主人公を演じているのだが、お互いに必要な存在としながらも、幸せの表裏一体となっている恐怖心に勝てずに絶望に打ちひしがれている姿が描写されている。

そんな2人の背景には、前述したような過去の恋愛で負った痛みや傷があるのだろうか。たくさん葛藤した末に出した結論だったということは伝わってくるのだが、ひとつ不可解な点がある。なぜその決断を下したゆえに、お互いがより深いダメージを心に負っているのだろうか。片方ならまだ分かるが、なぜ2人ともが悲しみに暮れているのだろうか。

そこにはコミュニケーション不足ということも考えられるが、私はそれだけではないと思っている。2人には“覚悟”が足りなかったのではないだろうか。

愛する覚悟と愛される覚悟。恋愛にはどちらも無くてはならない必要な心構えだと思っているのだが、曲中で「scared to be happier(幸せになるのが怖い)」と何度も言っていることからは、いま一歩、そうした覚悟が足りていないことが分かる。

また「I just need a rest(ちょっと休憩が必要)」と言っているところからは、自尊心がだいぶ低くなってしまっていることが分かるのではないだろうか。トラウマのほか、過去の失敗にこだわってしまうあまり低下してしまったことも考えられるが、まずは自尊心を回復させることが先決だろう。そうすることできっと、恋愛も仕事も人生も、上手くいくようになるのではないだろうか。

そんなこんなでYUNGBLUDとOliの共作「Happier」について自由に書いてきたが、これはある意味、2人からの“注意喚起”のようなものだと思っている。曲中で描かれている主人公のようにはなってくれるな、という強い想いを感じたのだ。

恋愛にはいくらかの“負の感情”は付きものである。n年前までの私は自己肯定感の低い男性に惹かれてしまい、自尊心が低下してしまった時期もあるのだが、私がいま恋をしている相手はそんなことを微塵も感じさせない。それどころか、なんだか不思議と安心できるのである。

時折考えすぎてしまうことが原因で心配ごとに襲われてしまう日もあるものの、心の持ちようによって人生を良くも悪くもできるものだと思っている。だからこそ、私が相手に対して抱く温かい気持ちを胸に、多少の不安も乗り越えていきたい。

“幸福への道標”――それはきっと“覚悟”を持ちつつ、前向きなマインドを忘れない人のもとに示されやすいものなのではないだろうか。少なくとも私は、そう信じてやまない。

Happier

Happier

  • Locomotion Recordings/ Geffen Records
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