ミュージック バンク

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感性に訴えてきた楽曲を、ちゃんさきセレクションでお送りする音楽ブログ。独断と偏見で綴っています。

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【第12回アイドル楽曲大賞2023】この曲がアツかった!マイベストアイドルソング

今年も開催された、全国のアイドル好きが密かに楽しみにしている“冬の風物詩”アイドル楽曲大賞

1年間にリリースされたさまざまな女性アイドルの曲の中から、メジャーアイドル楽曲部門、インディーズ/地方アイドル楽曲部門、アルバム部門、推し箱部門の4つの部門にそれぞれ自分が好きな曲やアーティストを投票して順位が決まるという同企画。

順位付けをあまり好まない筆者でも、これまで出逢ったことのなかった曲やその魅力を知る良いきっかけとなっているため、関心度が非常に高いのである。

そんな筆者は今年も参加。各部門にピックアップした作品、それからそれぞれの感想を綴ってみたので、愉しんでいってもらえたらうれしい。

独断と偏見で選んだ、ちゃんさき的ベストセレクション。それでは、行ってみよう。

メジャーアイドル楽曲部門

乃木坂46「Never say never」

あのスポーツがテーマ!世界に響け、最高のエール

Never say never

Never say never

今年はスポーツの話題が絶えない1年だったと言っても過言ではない。全日本卓球選手権大会では早田ひな選手が女子史上4人目となる三冠を達成したり、世界陸上女子やり投げでは北口榛花選手が金メダルを獲得したりと、各メディアでそれらのニュースは引っ張りだこ。ほか、世界水泳選手権ラグビーワールドカップなども開催され、各地で賑わいを見せていたことはまだ記憶に新しい。そんな中、とりわけ筆者が熱くなった大会が、ワールド・ベースボール・クラシックである。その頃は定期的に新聞を購読していたのだが、スポーツ面は卓球以外サラッと読み流していた私がWBCをきっかけに一変。野球にも少しだが関心を持てるようになり、自分の興味の幅を広げられたきっかけを与えてくれたのだった。乃木坂46の「Never say never」を聴いていると、オオタニサンのバントや、覚醒した村神様の逆転サヨナラ勝ちなど、WBCの名場面がフラッシュバックされるのである。侍ジャパンの仲間を信じるチカラをテーマにしているようなこの曲を、ぜひあなたにも聴いてもらいたい。妙な変化球ではなく、直球ど真ん中どストレートで刺さる最高の応援歌だ。

私立恵比寿中学「kyo-do?」

ウィットに富んだ言葉遊びが炸裂した、愉快な言葉のキャッチボール

新型コロナウイルスもインフルエンザ等と同じ5類へと移行した今、リモートワークを取り入れていた企業も原則出社となったり、久しぶりに地元に帰省したりと、公私ともに人とやりとりする機会が増えた人が多いのではないだろうか。私立恵比寿中学は「kyo-do?」で「今日どうする?」などと話す私たちの日常会話を切り取ったような、コミュニケーションをテーマにしたストーリーを展開している。曲中には「また手も繋げない現代を一緒に生きていく」とコロナ禍での日々を“共闘”してきた表現も見られるが、直接は繋げなかった手も、言葉がしっかり繋げてくれるのである。「君は今日どうする?」『こっちは予定あいてるよ』などのテンポのよい会話が広がっていく様子からはそうしたイメージが浮かんだのだ。またこの曲は、対面、電話、LINEやTwitter(X)等のツールを問わず、人とやりとりすることで“強度”に繋がれる楽しさや喜びをユーモアのある言葉遊びとともに描いている曲のように感じ、気に入っている。活気づく街中で、今日もどこかの誰かが「今日どうする?」と話す声が聞こえてきそうだ。

ukka「コズミック・フロート」

一聴すれば弾け出す青春!“絶品フロート”を飲んでひと休み♡

EDM調のサウンドも取り入れた、洒落たセンスがキラリと光るukkaの「コズミック・フロート」。宇宙に浮かんでいるかのような浮遊感の漂うゆったりとしたサウンドに、氷が“カラン”と音を立てながらコップの底に落ちていくような効果音も合わさることで、英語で浮くや浮かぶを意味する“フロート(float)”と、メロンフロートやオレンジフロートなどのあのドリンクを彷彿とさせる“フロート(ice cream float)”を混ぜ合わせたような独自の世界観が浮かんだ。脳内に展開されたのは、夢心地気分でドリンクの上に浮かんでいるかのようなイメージである。そしてサビでは、ポップなエレクトロダンスチューンが鳴り響くのだが、まるで口の中でパチパチと弾ける炭酸飲料のあの楽しさを表現しているかのようだ。そんな青春の味わいがするこの“フロート”を、あなたもひとくち飲んでみては?

Devil ANTHEM.「モンブラン TO GO」

リピ確定♡ 思わず持ち帰りたい“モンブラン”、ここにあり!

Devil ANTHEM.の「モンブラン TO GO」は、カントリー調のEDMが特徴的な“らしさ”が炸裂したダンスチューンだ。歌詞では、栗を使ったケーキの“モンブラン”、それからヨーロッパのアルプス山脈にそびえる最高峰“モンブラン”のWモンブランからイメージを膨らませ、ドッキングさせたような世界観を描写。そんなユーモアあり、奥深さありの、まるで人生を感じさせる魅惑的な世界を巧みなワードセンスを用いて表現しているところに心をくすぐられるものがあった。例えば“世知辛いしょっぱい日々”を生きる主人公が、“甘さ”を求めて“荒れ果てた荒野の先へ”とひたすら前進していく姿には、どこか上手く行っていないもどかしさを抱えながらも叶えたい目標に向かって努力している私たちに勇気を与えてくれるだろう。また曲中に登場する、ハーモニカは吹けないものの“口笛だけは誰にも負けない”特技を持つカウボーイは、彼の“らしさ”だけでなく私たち一人ひとりの長所や個性を全肯定し、引き立ててくれるのである。いま生きづらさを抱えている人たちに“ふとした少しのキッカケ”を与えつつ、見える景色を変えてくれるような、デビアンの“モンブラン”。あなたも味わってみてはいかがだろうか。きっとその味は格別だ。

PassCode「GROUNDSWELL」

うねり狂う社会の海に堂々と「NO」を突きつける、“頼れる姉御肌”

疾走感にあふれたアグレッシブなポストハードコアを基調としながらも、シャウトやスクリームをたんまり取り入れたサウンドで聴くものを虜にしているPassCode。そんな彼女たちの「GROUNDSWELL」は、海割りで知られるモーセのようなたくましさを感じたのだった。試されているような思い通りに行かない日々について嘆きながらも、うねり狂う社会の海を真っ二つに切り拓き、道を創造してくれるような勇ましさがひしひしと伝わってきたのである。そしてそれは、思い出などの過去に捉われているのではなく、常に暴れていくような瞬発力をもって時代に抗えることを説いてくれているようだ。そうして前へと突き進むことのできる勇気を与えてくれるPassCodeは、私にとっては頼れる姉御肌的存在である。

インディーズ/地方アイドル楽曲部門

ばってん少女隊「あんたがたどこさ~甘口しょうゆ仕立て~」

今回も九州を魅力的にPR!あの童歌が恋愛ソングに

手鞠歌「あんたがたどこさ」に恋愛要素を絡め、甘じょっぱいストーリーを展開している、ばってん少女隊の「あんたがたどこさ~甘口しょうゆ仕立て」。サウンドはポップなものへと練り上げられ、韻を踏んだ言葉遊びにあふれたクセになる歌詞との相性は抜群だ。例えば最初は「あんたがたどこさ」『肥後さ』「肥後どこさ」というフレーズや「あ・あ・逢えてラッキー」『こ・こ・恋してハッピー』といった歌詞がそれぞれのセリフとして歌われているのだが、最後のほうではこれらのフレーズがぴったりと重なり合い、ひとつになっているところが気に入っている。まるでお互いの気持ちがわからず、探り探りの状態だったところから両想いになったことを示唆しているかのようだ。はじめは“人たらし”に見えていたのかもしれないが、“醬油をかけてみる(醬油一垂らしする)”ことで見える世界は変わってくるのかもしれない。おかわりが止まらない恋愛ポップスである。

MIGMA SHELTER「A land switched by a witch」

“ミシェルの魔法使い”が“あの名作”に掛けるマジック

A land switched by a witch

A land switched by a witch

  • MIGMA SHELTER
  • J-Pop
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

あの不朽の児童文学作品『オズの魔法使い』をテーマに、独自の解釈をもってオリジナルの世界観を楽曲で展開させているMIGMA SHELTER。全3部作で構成される中、第2部シングル『OZ two』の「A land switched by a witch」で描かれているのは、エメラルドの都を目指す旅の途中でドロシーが最初に出逢う仲間のうちのひとり、“かかし”についてだ。ミシェルはそんなかかしの視点に立ち、ストーリーを展開。脳みそがないことを嘆くかかしのどこか仄暗い感情を本作でも全体的に散りばめつつ、かかしの持つ勇敢さを“ボス戦”を彷彿とさせるサウンドと後半の歌詞で描写しているように感じた。例えばそれは“野烏”というワードを冒頭部分で登場させ、最後は野烏が鳴きながら飛び立っていくようなサウンドを入れるというサンドウィッチ構文になっているところからも感じることができるだろう。野烏にも相手にされず、ただ見ていただけだったものの、最後はしっかり“かかし(Scarecrow)”として、“野烏(crow)”をも“脅かす(scare)”存在へと成長しているのである。また、何度か登場する「透ける黒」といった歌詞が“Scarecrow(かかし)”の掛け言葉になっているという、抜群の遊び心を利かせている点もおもしろい。第3部シングル『OZ three』ではどのような展開が描かれるのか、今から楽しみだ。

INUWASI「Strange Core」

隠していた“爪”をむき出しに――“鷹の目”で見つめる、そのまなざしを見た

Strange Core

Strange Core

  • INUWASI
  • ロック
  • ¥204
  • provided courtesy of iTunes

噛めない犬と飛べない鷹の融合生物“ハイブリッドラプター”をコンセプトとしているINUWASI。EP『Revive Your Faith』では、確かに“鷹の目”で上を見つめる彼女たちの姿が見えたのだ。今の彼女たちには「Hades」や「Lapse」で歌われているような暗さはない。噛めなくとも、飛べなくとも、今の“ハイブリッドラプター”は靄をも切り裂く熱いまなざしを向けているように見受けられたのである。「Strange Core」ではそうしたINUWASIの変化した核の部分が感じられたとともに、まっすぐと高みを目指しながらどんな過程をも受け入れ、信念と覚悟をもって突き進んでいくような姿勢が描かれている点が気に入っている。

zanka「アスター

今春開花、真っ赤に染まるその花の名は……

2023年4月に生まれたzanka。記念すべきファーストシングルの表題曲は「アスター」だった。ダンスチューンでありながら、花言葉は“変化”を意味する赤色のアスターが盛大に咲き誇っているようなロックスピリットを感じる同曲は、私の心を焼き尽くすまでにそう時間は掛からなかった。“夢の景色”を夢のままで終わらせずに掴み続けると叫んでいるかのような彼女たちの歌声には、力強い意志を感じる。これまでの自分や世界をぶん殴って“朱の花”を開かせたり、囚われたまま終わりを迎えてしまうことに「ふザけんな」「全部喰らって踊る」と噛みついたりするzankaの“反骨精神”からも、びしびしと伝わってくるロック魂。いろいろとあった今春、私は静かに燃ゆるその灯火に温められた人のひとりである。

TELLMIT「Days」

“ありのまま”に描いた“僕たちの日々”

「少しだけ目が覚めた朝」というフレーズから始まる、TELLMITの「Days」。夢を見ていた“僕たち”が、苦悩しつつも、理想を現実に近づけるために行動していくストーリーが描かれている同曲。夢に向かって追いかける人を元気に励ましてくれるような楽曲も好みではあるのだが、目の前の現実と向き合いながら“なりたい自分”になるために葛藤しているようなTELLMITの「Days」をはじめとする楽曲に最近の私はなんだかよく惹かれるのである。また、歌詞でそうした複雑な想いを時折描きつつも、音圧強めなサウンドはまるで心の奥底から鳴り止まない希望や願望を表しているようで気に入っている。

アルバム部門

INUWASI『Tranxend』

覚醒した“音”と“魂”で切り拓く未来――“新鋭的ダークホース”のごとく、風を切る

INUWASIの音楽の方向性はいつからか大きく変わったように感じている。やや暗めのエレクトロやポップスにバンドサウンドが入り混じった楽曲を中心に歌っていたイメージがあったのだが、久しぶりにじっくり聴くINUWASIはそんな姿を微塵も感じさせない。それどころか明るくなっており、音楽の方向性も劇的に変化を遂げていた。そこで改めて彼女たちの“きっかけ”を振り返ってみると、2022年にリリースされたEP『天秤』あたりから楽曲に笑顔が咲き始めただけでなく、多彩なサウンドに手を伸ばし始めたように感じている。そして今ではポストハードコアやエレクトロをはじめとするサウンドに、シンセサイザーを効かせたトランスやサイケデリックの要素も交え、時にはオートチューンボーカルも取り入れるスタイルへと華麗に転進。中には変調していく遊び心のあふれた新しい楽曲もふんだんに詰め込まれているのだ。そこから感じるのはINUWASIの“超越”した姿。まるで新章に突入したかのような彼女たちの生き生きとした在り様が伝わってくるアルバム『Tranxend』をぜひ耳に、心に焼き付けてもらいたい。

Devil ANTHEM.『ADVANCE』

止まらない躍進――夢に向かって“前進”し続ける姿は美しい

今年5月に晴れてビクターエンタテインメントよりメジャーデビューを果たした、Devil ANTHEM.。その後も彼女たちの勢いは止まらず、今年は“でび夏”と謳ったさまざまな企画を展開してきた。中でも、デビアンが毎年夏に主催している対バンイベント「でびぱっぱ」は恒例の福島三崎公園のほか、大阪城野外音楽堂、さらには日本最大級のアイドルフェス「TOKYO IDOL FESTIVAL」にも進出。そうして着実にファンを増やしてきたデビアンは、TOKYO DOME CITY HALLにてワンマンを、日比谷公園野外大音楽堂にて対バンイベントを、この冬予定している。破竹の勢いで大幅にパワーアップしてきたデビアンだが、彼女たちの“強さ”をとりわけ感じられたのが、今年1月にリリースされたアルバム『ADVANCE』である。人気曲「LOVE~極~」などの沸ける楽曲も交えながら、待ち遠しい未来に向けてひた走っていく様子が描写されている「ソノサキ (2023ver.)」、ひたむきに挑戦していく決意表れる表題曲「ADVANCE」、前へと駆け抜けていく様子が浮かぶ「ONE DAY」、夢の続きを見ていたいと願う「不確かな未来」などの“夢”について前向きに歌われた楽曲がたっぷりこのアルバムに閉じ込められているのだ。“日々、最高を更新する”をモットーに、実際にこれまでアップデートしてきた彼女たちだからこそ、“らしさ”が感じられる渾身の1枚のように思う。ビクターに所属する前からひしひしと伝わってきた彼女たちの“強み”はもちろん、今もなお健在だ。

Axelight『Hydrogen』

心を照らす、強くもやさしい“光”

日本語で“水素”を意味する『Hydrogen』をテーマに打ち出し、ここぞとばかりに極彩色なサウンドを轟かすAxelight。ファンク要素も取り入れたダンスミュージックやサマーポップアイドルチューンなどの楽曲も含めたエレクトロポップ要素強めの作品がずらりと並ぶ同アルバム。その音色は容赦なく、聴いたものをたちまち軽やかに宙に浮かしてしまう威力があるように感じる。まるで私たちが踊りながら飛び跳ねる様子を、そのまま“水素”としてなぞらえたようにすら思えてくるのだ。それでいて、歌詞も私たちを明るく照らしてくれる灯火となっているようなものが多いのである。音楽という名の方舟に乗せて、どこまでも運んでくれているような、そんな温かなエネルギーを与えてくれている気がした。

推し箱部門

Devil ANTHEM.

私がアイドルソングに興味を持ち始めた原点。

終わりに

最後に目次にてピックアップした作品一覧を記しておくので、この機会に気になった楽曲をチェックしてみてはいかがだろうか。

よかったら、あなたの感想やコメントなども聞かせてもらえたらうれしい。

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