ミュージック バンク

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感性に訴えてきた楽曲を、ちゃんさきセレクションでお送りする音楽ブログ。独断と偏見で綴っています。

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夜と私――部屋で踊る不器用な踊り

周りを見渡せば、エンタメを現場で楽しんでいる人がいる。ライブやフェスに参加したり、映画を観に行ったり。とにかく、みんな楽しそうだ。

それもそのはず。今ではだいぶ新型コロナウイルス感染対策の緩和が進んできているため、公共の場でのマスク着用などのルールを守ってさえいれば、何も問題ないのである。少し前の、社会が向ける厳しい目が嘘だったかのように、一人ひとりが想い想いの時間を楽しんでいるのだ。

しかしながら。何らかの理由でそれが叶わない人も、少なからずいると思うのだ。そして、実は筆者もその一人。原因はいろいろとあるのだが、長引く体調不良により容易に外に出られないという状況が続いているのである。

今回は筆者とおんなじような立場に立っている人に向けて、その時々の時代背景や自己の内面と向き合いつつも、「世界中の毎日をおどらせる」というテーマが決してブレることのないバンド・Lucky Kilimanjaro(以下、ラッキリ)の楽曲を紹介していきたい。どんなに暗い気分でいても、彼らの音楽はきっと君の心を躍らせてくれるはずだ。

“お家”時間も楽しく――ラッキリが掛ける魔法

現場でエンタメを味わう良さを知ってしまっている筆者にとって、腹痛などの理由からお家時間を過ごしているのは、嫌々であったり、渋々であったり。どうしても“負の要素”が強かった。そんな考えを改めさせてくれたのが、ラッキリの「HOUSE」である。

HOUSE

HOUSE

  • Lucky Kilimanjaro
  • J-Pop
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

この曲を聴いていると、お家時間も不思議と悪くないと思えてくるのである。「HOUSE」はもともとコロナ禍に入る前の2019年にリリースされた曲でありながら、インドア派を肯定しているかのような楽曲となっているため、今、何らかの理由でお家時間を過ごす必要がある人たちにも刺さるような内容となっているのだ。

インドア派の主人公は、“部屋のプロフェッショナル”だ。旅行に行かなくとも、WEBから世界へと片手一つで旅をできる術を知っている。そして、彼は“ジャンボジェットもいらないし、高速道路も混まない”と楽観的なのである。

さらには、溜めていた漫画に浸ったり、Spotifyからラッキリを聴いたり。はたまたNETFLIXを楽しんだりと、自由自在。彼は夜の12時を回っても“まだまだ終わらないぜ”と、気が済むまで彼の世界にどっぷりと浸って自分の時間を楽しんでいるのだ。

その時間の使い方と彼のポジティブ思考は、まさにプロそのもの。嫌々お家時間を極めているわけではなく、“ここから出ない”と決めてお家で好きなことをして楽しんでいる姿には、衝撃を受けずにはいられなかった。今の私に必要なのは、その“楽しむ精神”なのではないだろうかと思ったのだ。

魔法はいつか解ける――そんな気分、あっていい気がして

どんな逆境にいようと、それも楽しめる人になりたい。そう、「HOUSE」は思わせてくれたのだが、時々、自分の弱さに飲まれてしまいそうになることもあるだろう。ラッキリは時にそんな気分も肯定してくれるのだ。それが、この曲。「地獄の踊り場」である。

地獄の踊り場

地獄の踊り場

  • Lucky Kilimanjaro
  • J-Pop
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

ボーカル・熊木幸丸が“いつだって強くない、いつだってギャルじゃない、誰だって地獄があって、抜け出せない闇があるでしょう”とやさしく語りかけるように歌うその声には思わず頷きたくもなってしまう。その上で“そんな気分、あっていい気がして”と何度も肯定してくれるのだ。

そんなにタフじゃない――そんなあなたに掛ける、信じるという魔法

寂しさや悩みに襲われてしまうことだってあるだろう。また、現場で楽しんでいたあの頃の自分を思い浮かべると、なんだか悲しくなってしまうことだってある。そんなときには、ラッキリはこの歌を贈ってくれる。「夜とシンセサイザー」だ。

夜とシンセサイザー

夜とシンセサイザー

  • Lucky Kilimanjaro
  • J-Pop
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

“寂しい夜、続くね、描いてた地図、覆されちまって”という歌いだしは、まるで現状に満足していない私たちの心そのものだ。ラッキリは弱者の心にもちゃんと寄り添ってくれるのである。

しかし、そこで立ち止まらずに進みたいのが本音だろう。“過去の宝は棄てて、砂漠の先、まだ見ぬ未来”と何度もリフレインされているところからは、私たちが頑張って前を向こうと努める姿も表現しているのだ。

“砂漠”なので、まだそこには希望が見えないかもしれない。そんな寂しさや不安に襲われながらも、その先の“まだ見ぬ未来”を見たい。その想いは誰もが持っているのではないだろうか。

 

ラッキリは“負の感情”も原動力に変えられることを知っているからこそ、「地獄の踊り場」や「夜とシンセサイザー」などの楽曲で、心の闇を描きつつも、それらの感情も肯定しているように感じる。こうして体調不良をネタにこの記事を書いて昇華しているように、ネガティブな感情は必ずしも悪でないのだ。

時には「地獄の踊り場」や「夜とシンセサイザー」のようにネガティブな感情に浸ったり、時には「HOUSE」のようにお家時間を楽しんだりしながら、感情の波を乗りこなし、夜が明けるまでしばらく不器用な踊りを繰り広げていたい。