ミュージック バンク

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感性に訴えてきた楽曲を、ちゃんさきセレクションでお送りする音楽ブログ。独断と偏見で綴っています。

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【第11回アイドル楽曲大賞2022】この1年を彩った、ちゃんさき的ベストセレクションはコレだ

1年もそろそろ終わりに近づく頃、全国のアイドル好きが密かに楽しみにしている“冬の風物詩”がある。それが、アイドル楽曲大賞だ。

1年間にリリースされたさまざまな女性アイドルの曲の中から、メジャーアイドル楽曲部門、インディーズ/地方アイドル楽曲部門、アルバム部門、推し箱部門の4つの部門にそれぞれ自分が好きな曲やアーティストを投票して順位が決まるのだが、順位付けをあまり好まない筆者でも、これまで出逢ったことのなかった曲やその魅力を知る良いきっかけとなっているため、関心度が非常に高いのである。

実は2年前から密かに参加しているのだが、このブログで紹介してきた年間ベスト記事と被ることもあったため、これまで敢えて記事化してこなかったのだ。

しかしながら、今年はお家に引きこもっている時間が増え、さまざまなアイドルが歌う楽曲をいつもよりも聴いてきたように感じたことから、3回目となる今回の投票をもってはじめて記事化してみることにした。各部門にピックアップした楽曲やアーティスト、それからその選出理由を記載してみたので、愉しんでいってもらえたらうれしい。

独断と偏見で選んだ、ちゃんさき的ベストセレクション。それでは、行ってみよう。

メジャーアイドル楽曲部門

乃木坂46「絶望の一秒前」
絶望の一秒前

絶望の一秒前

  • provided courtesy of iTunes

「絶望の一秒前」という強烈なタイトルを掲げる、乃木坂46新型コロナウイルスが猛威を振るい始めてから3年が経とうとしているが、その中で希望を感じられなくなってしまった人も少なからずいると思っている。この曲はそんな人たちに向けて、「結局は君自身 どうしたいか聞こう」と、乃木坂なりの“ヒント”を与える歌だと思うのだ。本当に絶望してしまうと、ポジティブな想いや考えなどがシャットアウトされてしまうものだと思うのだが、希望がまだ見える状態のときにぜひこの曲を聴いてみてほしい。きっと君に何かしらの“原動力”を与えてくれるはずだ。

BiSH「サヨナラサラバ」

BiSHがBiSHらしくいられるために、彼女たちを縛るすべての鎖を引きちぎっていくような力強さがある「サヨナラサラバ」。例えば、“空気を読む文化”に対して、彼女たちは物怖じせず噛みついていく。曲中には「何が良い?何がダサい?」などと他人の顔や世間の目を必要以上に気にしているような人の描写があるのだが、それに対し彼女たちは「誰の為のそのルール」「もう逃げ道はいらない」と堂々と“NO”を突きつけていくのだ。自分は自分、他人は他人と割り切って、我が道を貫いていくようなBiSHの「サヨナラサラバ」。彼女たちの“抗い”に、強く胸を打たれずにはいられなかった。

櫻坂46「摩擦係数」

「摩擦係数」では、BREAKも取り入れたムーブに、森田ひかるちゃんと山﨑天ちゃんのWセンターという新たな試みに挑戦している、櫻坂46。欅坂46時代から引き継ぐ、パンチの効いたメッセージ性の強い曲でセンターを務めることの多いひかるちゃん。一方で、天ちゃんは、愛を持って主張していくような楽曲でセンターを担うことが多いように感じる。そんな一見、“対照的”に見えるふたりが、まさに“ぶつかり合って わかり合おう”としているかのごとく、熱いバトルを繰り広げながらもしっかりと握手を交わす。そんなふたりの踊りが表現しているように、きちんと話し合うことで見えてくるものもあるだろう。

LE SSERAFIM「FEARLESS」

LE SSERAFIMがデビュー曲「FEARLESS」で魅せる“切れ味”はさることながら、丹念に作り込まれたこの曲から目が離せなかった。例えば、サビの、まるで壁からこっそりチラ見している人を表現しているかのようなダンス。さらには、まさに“何見てるの?”とでも言っているかのような彼女たちの意思の宿る瞳まで、すべてが「What you lookin' at?」と歌っているところに繋がっているように感じるのだ。そして、これだけ恐れ知らずな姿が描かれていながら、可愛らしさや強烈な個性も持ち合わせているルセラ。そんなガールズクラッシュの路線に決して乗っているわけではないように感じるところにも、おもしろみを感じている。

mzsrz「夜明け」

mzsrzの「夜明け」は、一人ひとりが抱える辛さや悩みにそっと寄り添いつつ、やさしく背中を押してくれるような1曲だ。「逃げよう さあ今日がやってきた」という歌詞は、Aメロでは現実から逃げてもいいという肯定的なメッセージに捉えることができるが、Bメロでは自分の夢や希望などに向かってひた走る様子が浮かび、それは世間の求める姿からの“前向きな逃げ”であることが伝わってくる。“夜明け”への道のりは自分にしか分からないものだと思うのだが、彼女たちの歌はいま抱える“負の感情”を和らげ、その胸に勇気や希望の灯をつけてくれるだろう。

インディーズ/地方アイドル楽曲部門

PIGGS「まじ無理ゲー」

“辛い苦しいたまらない時は「無理!」って言っても いいんだよ”というフレーズに救われた3ヶ月間だったといっても過言ではない。PIGGSが「まじ無理ゲー」の中で歌う“無理”は、限界まで溜め込んで放った言葉ではなく、ずっと気軽でライトな“無理”である。これまで「無理!」と音を上げることを禁じ、身体を壊してから気づいた、そのライトな“無理”の大切さ。その「無理!」は、自分自身の弱さを認め、受け入れてあげることで、はじめて前進できる言葉であることに気づいたのだった。自分自身に厳しい人こそ、この曲をぜひ聴いてみてほしい。

On the treat Super Season「超超超」
超超超

超超超

  • On the treat Super Season
  • J-Pop
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

月に一度訪れる“レディースデー”などから、女の子は時々、自分の中に居る“怪物”を飼いならしながら生きている、と思っている。まさに“調子の賞味は生物”であり、“調子って続かない”ものだと思うのだ。それにしても、とにかく今年は身体の調子がよろしくない1年だった。そんな不調が続く自分の影を、「踏み付ける」と歌うところでメンバーと一緒に飛び、踏み付けていくのである。まるで体調不良の原因を根こそぎ消滅させたかのごとく、爽快な気分になれる1曲だ。理不尽なことでも思い浮かべながら、ぜひライブでおすしと一緒にやっつけてしまってほしい。

Devil ANTHEM.「ソノサキ」

“日々、最高を更新する”。その想いをたぎらせながら、実際に常に最高を更新しているデビアンだからこそ、“夢”について語らせたら右に出るアイドルはいないと思っている。「ソノサキ」はまさに、デビアンが強みとしている“夢”について歌った曲だ。隠しきれない夢への想いがあふれて、その落書きをしているところ。そして、その落書きを現実にするために、どんどん加速していくところ。これらは夢を追いかけている人たちにもきっと響くだけでなく、ここ数年でものすごい勢いで駆け上がっていった彼女たちの姿が自然と浮かぶシーンである。さらには、2023年5月に念願のメジャーデビューも果たす彼女たち。これをもって第2章へと突き進む、デビアンの躍進劇が止まらない。

アンスリューム「かわゆすギルティ」

推しに対して“かわいい”と感情が高ぶる様子を、カオスティックな歌とキャッチーなサウンドで表現したような、アンスリュームの「かわゆすギルティ」。推しへの愛があふれるあまり、他の子への“かわいい”という反応を見るたんびにメンタルがすり減ってしまったり、今度は“愛の投げキッス”をお見舞いしたりと、その荒ぶりようはまさに深夜テンション。また、曲中にはとんでもない速度で流れていく思考回路を描いたような早口言葉が織り交ぜてあったり、乙女な主人公が自分自身をペットに例えたりと、彼女の愛にはブーストが掛かりまくっている。傍から見たら狂気かもしれないその深夜の暴走劇も、MVではメンバーたちがかわいく描いているため、ほっこりとした気持ちになれるだろう。

HO6LA「さよなら雷火」

苺りなはむが、後輩であるパンルナリーフィの“武道館に立ちたい”という夢を叶えるべく発足したHO6LA。そして、そのパンちゃんのメンバーカラーである水色を彷彿とさせる“雷火”というワードを曲名に入れた「さよなら雷火」は、まさにパンちゃんのために作られた曲だと思うのだ。雷火が徐々に激しく燃え盛っていくようなサウンドは、パンちゃんの夢に共感した他のメンバーとともに狼煙を上げていく姿が浮かぶ。また、この曲で歌われているのは“なりたい僕”になるために心の灯火を燃やしていくような、非常に前向きで希望を感じさせるものである。その後、メンバー一人ひとりが新たな道を歩むこととなったHO6LA。今でも、それぞれの夢を追いかけ続けてほしい。

アルバム部門

ばってん少女隊『九祭』

このアルバム1枚でまるで九州一周旅行に行った気分になれる、ばってん少女隊の『九祭』。九州各県の魅力がたんまり詰まった歌詞、それからこだわりを感じるサウンドで彩られた楽曲たちが並ぶ同アルバムは、コロナ禍などの現在の不安定な世界で感じる“不安”を吹き飛ばし、たちまち“楽しい(fun)”気持ちにさせてしまおうといった前作『ふぁん』のコンセプトを引継ぎつつも、さらにパワフルにアップデートされたものとなっているように感じた。それは初っ端から韻を踏み倒し、時には本格的なラップパートも構えた、遊び心尽くしなリード曲「御祭sawagi」からだけでもひしひしと伝わってくるものがあるだろう。“九州を盛り上げたい”という想いで活動している彼女たちの、“渾身の作”を聴いてほしい。何らかの事情があり、まだ自由に旅行できない人たちにも、ばってん少女隊の歌は一人ひとりが想い想いに羽ばたける翼を授けてくれるはずだ。必要なのは「再生」ボタンひとつだけ。旅費も掛からずに、九州までひとっとびである。

buGG『buGG PuCKS』

色とりどりのお菓子たちがひとつのパックとなっているジャケ写が印象的な、buGGの『buGG PuCKS』。そのポップな“商品画像”だけでも既に手に取りたくなってしまうかもしれないが、一つひとつの個性的な“味”がそれを掴んで離さなくさせるのである。「絶体絶命!レレレbuGGミッション」では、メンバーたちが楽しそうにしりとりをする輪の中に自分も混ざっている感覚になれたり。“負の感情”に飲み込まれそうになってしまったときには「My War」で昇華できたり。絶望しても、感情的な気分に浸ることができる「Hydrangea」が、再び希望や勇気をじんわりともたらしてくれたり。元気が出るキャッチーな楽曲を中心に、バラエティに富んださまざまなトラックたちが1枚にぎゅぎゅっと詰め込まれた同アルバムは、お腹が空いたときにお菓子を食べることでお腹も心も満たされるあの感覚のように、不足したエネルギーをハートまで届けてくれるのだ。まだ味わったことのない人も、この機会に“かさばることのないお菓子”を試してみてはいかがだろうか。この詰め合わせパックは、心をきっと満たしてくれるだろう。

Quubi『Gene』

ロックテイスト調の楽曲が揃う、Quubi待望のファーストアルバム『Gene』。Quubiの“代名詞”ともいえるこのアルバムは、彼女たちの持つ最大HPで強烈なストレートを思いっきり喰らった感覚になった。特にアルバム中盤の「Pump It」から「Still Walking」の流れが凄まじい。「Pump It」は、アグレッシブな打ち込みからの変態ベースという痺れる曲始まり。そんなリズム隊に負けない熱量で畳みかけていくメンバーの魂感じる歌声、それから煽り気味なラップパートも挟む姿からは“攻めの姿勢”しか感じないのである。再び迫りくる変態ベースからの華麗なるギターソロも、パンチが効いている。ノックアウト寸前なところで、「Still Walking」をドロップしていく彼女たち。穏やかな曲かと思いきや、シンセが響き渡る3拍子の変調パートを挟むという、まさかのフェイントを仕掛けてくるのがたまらないのである。ジャケ写からは九尾の狐の咆哮が聞こえてきそうだが、リスナーからは思わず唸り声が漏れてしまうに違いない。

推し箱部門

On the treat Super Season

“おすしハードコア”というそのキャッチコピーにふさわしいメンバーたちの、それぞれの“核”が光り輝くこのグループ。それは何もパフォーマンスから感じられるだけでなく、SNSからも一人ひとりの個性が強烈に伝わってくるのだ。楽曲はメッセージ性が感じられるものから、遊び心満載なものまでさまざまなため、幅広く楽しめる。この機会にぜひ“旬のご馳走”を味見していってもらえたらうれしい。

終わりに

ちゃんさき的セレクション、いかがだっただろうか。
残念ながら入りきらなかった曲もいくつかあるのだが、楽しんでいってもらえたらうれしい。
最後に目次を記しておくので、この機会にぜひ気になった曲をチェックしてみてはいかがだろうか。

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