ミュージック バンク

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感性に訴えてきた楽曲を、ちゃんさきセレクションでお送りする音楽ブログ。独断と偏見で綴っています。

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KANA-BOON、ЯeaL、サカナクション…“SNS”がテーマの曲から、その使い方を考えてみた

私たちは何かとスマホをチェックしがちである。

LINE、TwitterInstagramFacebookYouTubeTikTok、Clubhouseほか、数多のSNSがひしめき合う今。スマホを手放せなくなっている人も少なくない。

そうしたSNSを楽しむ目的で使用しているのならよいのだが、中にはSNSに振り回されて疲れてしまっている人もいる。そんな“SNS疲れ”を感じている人たちに、SNSがテーマになっている楽曲を紹介していきたい。ピックアップしたのは、バンドを中心に5曲だ。この記事を読み終わった頃には、正しくSNSを使えるようになっていてほしい。

KANA-BOON「ウォーリーヒーロー」

KANA-BOONの「ウォーリーヒーロー」は、SNSの持つ悪い側面を描きつつ、聴くものに“警告”を促している曲のひとつである。

タイムラインを見れば、ずらりと流れてくるたくさんの呟き。そこから、いつだってそばに誰かがいるような感覚に陥ってしまう人も少なくない。そうして、そこでSOSを出すも、誰からも返信がなく、孤独感を感じてしまう――。

一見、フォロワーが多ければ多いほど“繋がった気分になる”SNSだが、実は“閉鎖的”という、現代的なツールの持つ“落とし穴”を歌っているのがこの曲だ。また、さまざまな“声”を目にするうちに、中には自分の“本当の声”が分からなくなってしまう人もいるだろう。時に流れてくる容赦のない“声”は、“毒”のような存在感を放っているものもある。

KANA-BOONは、そうしたさまざまな情報が飛び交うSNSの悪い一面を描きつつ、私たちに向けて「君の本当の声忘れないで」「そのタイムラインに飲み込まれる前に 想像してくれ」と“警告”してくれているのだ。「ウォーリーヒーロー」は、他人に左右されずに、自分らしく生きることを促してくれるような1曲となっている。

ЯeaL「仮面ミーハー女子」

ЯeaLの「仮面ミーハー女子」は、ティーン女子の“心の闇”を映し出したような1曲だ。

誘われた花火大会に「置いてけぼりは嫌」という理由から、本音を隠して参加。友達の“あの子”の呟きには「どうでもいい」「興味無い」「ミュートしたい」と思いながらも、とりあえず「いいね!」を押す。「何人友達がいたって一人きり」と歌っているところからも、“僕”には“本当の友だち”がおらず、クラスの女子と希薄な関係を築き上げていることが分かる。

“本当の友だち”ができないのは、おそらく相手の顔色を伺い、他人の意見に合わせてしまっていることが原因だろう。そして、その背景には、スクールカーストやいじめなどの問題があることも考えられる。

ティーン女子から人気のあるミオヤマザキも「女子高生」で、「必須科目は学よりもPeople」「ちょっと目立てば ハブ」と歌っているものの、自分の想いや考えを持ち、相手に伝えていくことで“本当の友だち”ができるものだと思っている。また、自分の好きなものやことを大切にすることで、心を通わすことのできる仲間ができると思うのだ。

だからこそ“僕”は、本音を言わない、エセ「いいね!」などの“傷付かない為の防御法”でガードを固めるのではなく、自分らしさを開示していってほしいと願っている。

グッドモーニングアメリカ「コピペ」

SNSでの承認欲求が強すぎる人をアイロニーたっぷりに描いているのは、グッドモーニングアメリカの「コピペ」だ。

SNSをやっていると、自分で自分自身を認めるのではなく、他者に自分自身を認めてほしいという、他者承認欲求が強すぎる人をチラホラ見かける。そして、この曲で描かれているのもまた、そうした“承認欲求こじらせ人間”だ。

かまってほしい、注目されたいなどの、周りに認めてもらいたいという想いが強すぎるあまり、“本当の自分”を見失っている“僕”の姿が描かれているが、SNSをやっている人ならそうした人を少なくともひとりは見かけたことがあるのではないだろうか。

中には、自分がどう在りたいかではなく、人から何を求められているのかを考えて、他者が求める自分を演じてしまっている人もいる。しかし、例えそれで「いいね!」をもらえたとしても、一時的には満足感を得ることができるかもしれないが、本当に心が満たされることはないと思っている。

他人から反応がなくとも、自分が心から「いいね!」と思って投稿したものなら、少しも気にしないはずだ。だからこそ、他者ではなく、過去の自分自身と比較するなど、自分自身に焦点を当てることが大切なのではないだろうか。

サカナクション「エンドレス」

サカナクションの「エンドレス」は、まるでSNSでの“負の連鎖”を表現したような楽曲となっている。

誰かを笑う人がいて、それを笑う人がいて、それをまた笑う人がいる――。以前、サカナクションはラジオ番組で、YouTubeのコメント欄を参考にこの曲の歌詞を書いたと話していたが、SNSに対しても同じことが言えるだろう。

それらを見ないようにしようとしても、どうしても目に入ってしまうことがある。笑われている対象の人のことを大切に思っていればいるほど、アンチの批判や嘲笑に悲しくなってしまうこともあるだろう。また、アンチの攻撃に怯んでしまう人も少なからずいると思っている。

しかし、“僕”は何か言いたいのだと思う。耳を塞いでいるのに、なぜか声がするのは、“僕”自身の“心の声”がずっと聴こえているからなのではないだろうか。そうして、そのことに気づいた“僕”は、他人からなんと言われようとも、“心の声”を口に出すのだろう。

それは、まさに“エンドレス”だ。ただ、何度も自分自身と向き合って口に出したものが心からの“声”ならば、その“声”はきっと少なからず届くはずである。

DAOKO × 中田ヤスタカ「ぼくらのネットワーク」

これまでSNSの問題点を書いてきたが、DAOKOと中田ヤスタカがタッグを組んだ「ぼくらのネットワーク」は、SNSを楽しむ上での理想的な使い方を想像させてくれるような1曲となっている。

SNS上でさまざまな人と繋がるうちに見えてくる光景は、本来ならば楽しいはずである。一人ひとりの持つ独自の世界観は、例え同じ意見だとしても、理由までがすべて同じということはない。そんなちょっとした違いも楽しむことができるはずだ。

また、「好き」なもので繋がるコミュニティは、決して脆いものではないだろう。むしろ、強固な関係性を築くことができると思っている。そのためにも、自分の中の「いいね!」を大切にしてほしいと思うのだ。

自分の好きなものやこと、自分らしさを開示することで見えてくる世界は、変わってくるはずだ。いま“SNS疲れ”を感じてしまっている人は、自分自身のSNSとの向き合い方を改めて考えてみてほしい。

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