ミュージック バンク

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感性に訴えてきた楽曲を、ちゃんさきセレクションでお送りする音楽ブログ。独断と偏見で綴っています。

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【RADWIMPS「PAPARAZZI―」】プライドを持ち、アンチに対抗する時代がやってきた

楽曲を通じて、RADWIMPSが真っ向から“伝えたいこと”に立ち向かっていく姿はかっこいい。

多彩な顔や深い歌詞で聴くものを魅了しながら、ファンと固い絆を築き上げてきたRADWIMPS

シングル『25コ目の染色体』で、2005年にメジャーデビューを果たしたロックバンド・RADWIMPS

彼らは、心温まるようなやさしい言葉や遊び心あふれるポップな音楽で聴くものに明るい希望や楽しみを与えているだけではなく、時にはエッジの効いた視点と訴えかけるような歌詞で人の持つダークな一面をも包み隠さずに堂々と表現している。

そうした異なる顔を楽曲ごとに覗かせている点や、全ての作詞を手掛けているボーカル・野田洋次郎が生み出す歌詞が深いことが、人々の心を惹きつけてやまない。

映画『君の名は。』だけじゃない! 被災地支援活動に取り組んだことでも話題に

さらに、2011年3月には東日本大震災の被災者を思い、メッセージや義援金を募る特設サイト「糸色-Itoshiki-」を開設したことでも話題を呼んだ。

同サイトには、RADWIMPSに賛同した宮藤官九郎をはじめとする多数の芸能人からの応援メッセージも公開され、毎年3月11日にはYouTubeで新曲を発表している。また、2016年に発生した熊本地震でも、音楽を通して被災地支援活動に取り組んだ。

君の名は。』社会現象化で、“誰もが知るバンド”に

そんな中、彼らが全劇中歌を手掛けた映画『君の名は。』が公開され、社会現象と呼ばれるほどの大ブームが巻き起こった。

それに伴い、彼らの知名度と人気も急上昇。今ではロックファンのみならず、彼らを知らない人はいないほどの幅広い年齢層にその名が広まり、チケットもますます入手困難となっている。

今回は、先日12月12日にリリースされた約2年ぶりとなるニューアルバム『ANTI ANTI GENERATION』の収録曲「PAPARAZZI~*この物語はフィクションです~」について独断と偏見で語りたいと思う。

怒りや憎悪が爆発! ストレートな表現や皮肉的な言い回しで想いを描く

楽曲「へっくしゅん」や「五月の蝿」などでも見せてきた“闇”の部分を「PAPARAZZI~*この物語はフィクションです~」でも放出させたRADWIMPS

同作のMVには、著名人を付け回しながらゴシップ写真を狙うカメラマン・パパラッチを仕事にする父とその子ども、さらにパパラッチされる側として野田さん本人が登場する。

また、歌詞は子どもと父のパパラッチという職業についての対話形式に、野田さんが鋭い切り口でパパラッチに対する怒りや憎悪を時にストレートに時に皮肉的に、存分に爆発させたものとなっている。

目には目を、その覚悟はあるのか? 面目を失わせているパパラッチに問う

「お父さんのお仕事」という課題で国語の授業で発表することとなった子どもは、パパラッチを仕事にする父にその職業について説明してもらうが、純粋無垢な子どもにはパパラッチが行き過ぎた行為により芸能人を苦しめていることがわからない。そんな子どもは父親を称賛し、尊敬してしまう。

さらに、父親は「求められるからやっている」と自身の仕事に自信を持っているが、MVでは父親らカメラの中を覗き込んだ多数のパパラッチが何者かに撃たれる様子が描写されている。

この箇所で、パパラッチという職業が著名人の面目を失わせていることを表現しているのではないかと考えた一方、パパラッチされる側を演じている野田さんが首を吊ってしまい、そのあとに父親が撃ち抜かれてしまうことから、やられたらやり返される覚悟はあるのかとパパラッチに問いかけているメッセージ性も感じた。

そこにプライドはあるのか?

しかし、面と向かって直接話もできず、隠れながら生きているだけに、きっとそんな覚悟などないのだろう。

最後に子どもに嘘を付いてまで自身の職業を周囲に隠そうとする歌詞や、野田さんがMVでほこりを取っている様子からも、パパラッチは誇れないことが伝わってくる。

陰口をする人やコソコソと悪口を話す人も同様に、この曲を聴いてほしいと思った。

自分自身に誇りを持つ大切さを教えてくれた1曲

今こそアンチに対抗する時代。きっと野田さんはそんな意味合いを込めてアルバム名を『ANTI ANTI GENERATION』と名付けたのだろう。

言いたいことがあるのなら、相手にストレートに伝える。そんな野田さんみたいな人に私もなりたいと思った。